将棋「学生名人戦」 優勝者が対局中にAIアプリ使用 失格に

優勝者に一部のプロの棋戦への出場資格が与えられる「学生名人戦」のことしの大会で、優勝した学生が対局中に将棋AIのアプリを使用していたとして、大会規定違反で失格となっていたことが分かりました。

「学生名人戦」を主催する全日本学生将棋連盟によりますと、4日に東京で行われた大会の決勝で、終局後、勝利した男子学生について一部の参加者から「対局中の離席の回数があまりにも多いため調査してほしい」などと申し出があったということです。

このため、連盟が、この学生に話を聞いて調べたところ、対局中に電源が入った状態でスマートフォンを所持していたことが分かり、決勝や準決勝の対局中に、局面を入力すると最善手を示す将棋AIのアプリを使用していた形跡が見つかりました。

大会の規定では、対局中は所持する電子機器の電源を切り、離席時の携帯は認められないとしているほか、将棋ソフトを使用して対局したことが認定されると違反者を失格処分とすると決められています。

このため協議の結果、男子学生を失格とし、準優勝の学生が繰り上げで優勝しました。

連盟によりますと、男子学生は、詳細については話していないと言うことです。

「学生名人戦」は、全国の学生の将棋の日本一を決める大会で、ことしで79回の歴史があり、日本将棋連盟が後援し、優勝者はプロの棋士などを対象とした「朝日杯将棋オープン戦」への出場資格が得られます。

全日本学生将棋連盟はNHKの取材に対し、「参加者を信じたいという思いが前提なので、驚きとともに残念な気持ちです。不正に対しては厳正に対処していきたい」と話しています。