マイナカード 既存データなど総点検 重点計画案に明記 政府

政府は、デジタル社会の実現に向けた重点計画の改定案をとりまとめ、マイナンバーカードのトラブルに対しては既存のデータやシステムを総点検することなどを明記しました。

政府は6日、デジタル社会推進会議を開き、デジタル社会の実現に向けた重点計画の改定案をとりまとめました。

このなかで、マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いでいることを受け、国民の不安を解消し信頼を得ることが不可欠だとして、トラブルに対しては既存のデータやシステムを総点検し、その後も定期的に点検することを明記しました。

また、人為的なミスを減らすためにシステムのデジタル化を進めて人が担う作業を減らすとしています。

一方、マイナンバーカードは2016年に交付が始まり、10年で更新時期を迎えることから、2026年中に新しいカードの導入を目指すとしています。

新しいマイナンバーカードは偽造防止などのセキュリティーを強化するとともに、現在のカードに記載されている性別や生年月日、住所などについては、プライバシーにも配慮して記載する情報を精査するとしています。

岸田首相 改めて指示 “信頼確保に向け対応強化を”

マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いでいることを受けて、岸田総理大臣は、信頼の確保に向けてシステムの再点検やミスの防止策の徹底など対応の強化を図るよう、河野デジタル大臣に改めて指示しました。

マイナンバーカードをめぐっては、一体化した健康保険証に他人の情報が登録されたケースが確認されたほか、国からの給付金などを受け取れる「公金受取口座」が別の人のマイナンバーに登録されるミスが起きるなど、トラブルが相次いでいます。

岸田総理大臣は6日朝、関係閣僚らが出席して開かれた政府のデジタル社会推進会議で「デジタル社会への移行に際しては『デジタルガバメント』への国民の信頼が重要だ」と指摘しました。

そのうえで「マイナンバーカードへの信頼確保に向け、一連の事案に関するすべてのデータやシステムの再点検を行うとともに、インシデントなどへの対応やヒューマンエラーを防ぐデジタル化を徹底するなど対策を強化してもらいたい」と述べ、河野デジタル大臣に対し、対応の強化を図るよう改めて指示しました。

加藤厚労相 “本人の意向確認の徹底 自治体に周知へ”

本人が希望していないにもかかわらず、健康保険証とマイナンバーカードが一体化されていたケースが確認されたことについて、加藤厚生労働大臣は、本人の意向確認を徹底するよう自治体に周知する考えを示しました。

マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次ぐ中、厚生労働省は5日、本人が希望していないにもかかわらず、健康保険証とマイナンバーカードが一体化されていたケースが5件確認されていることを明らかにしました。

これについて加藤厚生労働大臣は、閣議のあと記者団に対し「各市町村で行われているマイナンバーカードの申し込み支援事業の中で、本人の意向が十分に確認されずに利用登録がされてしまった。これについては例外的に利用登録を解除する対応を行った」と説明しました。

そのうえで「本人の意向にのっとって、健康保険証とマイナンバーカードをひも付けすることをしっかりと周知を図りたい」と述べ、本人の意向確認を徹底するよう自治体に周知する考えを示しました。

松野官房長官 “国民に不安を与え 大変遺憾”

松野官房長官は、午後の記者会見で「国民に不安を与えていることを大変遺憾と考えている。デジタル庁を中心に関係府省などが一丸となって、国民の不安解消へ対応を講じているところであり、デジタル社会推進会議での岸田総理大臣の指示を踏まえ、人為的ミスのリスクを低減させるため、デジタル化を推進していく」と述べました。

自民 梶山幹事長代行 “国民の不安解消に取り組んでほしい”

自民党の梶山幹事長代行は、記者会見で「国民に不安を与えてしまっていることは大変遺憾だ。起こしたミスを繰り返さず、信頼性のあるシステムにしていかなければならない。河野デジタル大臣のもと、デジタル庁を中心に関係省庁がしっかり連携し、国民の迅速な不安解消に取り組んでほしい」と述べました。

自民 世耕参院幹事長 “官邸が司令塔になり対応を”

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「原因は特定できているのでしっかり対処して信頼回復に努めてもらいたい。デジタル庁はまだできたばかりで危機管理の経験も足りないので、岸田総理大臣を先頭に総理大臣官邸が司令塔となって対応していくことが重要だ」と述べました。

公明 山口代表 “トラブルや再発の防止 徹底を”

公明党の山口代表は、記者団に対し「現場でトラブルが続発するようでは国民の信頼を得られない。国民が利便性を安心して享受できるよう、政府は自治体とともにトラブルや再発の防止に徹底してあたってもらいたい」と述べました。

国民 玉木代表 “推進ペース落としてでも検証などを”

国民民主党の玉木代表は、記者会見で「マイナンバー制度を止めてしまうとデジタル化が進まず、党として制度は推進すべきという立場だが、信頼が落ちてしまうと円滑に推進できなくなる。いったんペースを落としてでも、現状の問題をきちんと調査・検証し、再発防止策も含めて出すべきだ」と述べました。