米高官が北京訪問 “台湾海峡で意図しない衝突 懸念伝えた”

台湾海峡でアメリカ軍の艦艇の前方を中国海軍の駆逐艦が横切るなど米中の衝突につながりかねない事案が相次ぐなか、アメリカのホワイトハウスは中国の北京を訪問した高官が、中国側に直接、懸念を伝えたと明らかにしました。

アメリカ国務省の発表によりますと、東アジアと太平洋地域を統括するクリテンブリンク国務次官補が中国外務省の馬朝旭次官などと5日、北京で会談を行いました。

米中の間では、5月26日に中国軍の戦闘機が南シナ海の上空でアメリカ軍の偵察機の前を横切ったり、6月3日、中国海軍の駆逐艦が台湾海峡でアメリカ軍の艦艇の前方を横切ったりする事案が相次ぎ、アメリカ側は意図しない衝突が起きかねず危険な行為だとして映像を公開して非難しています。

ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は5日、記者会見で、アメリカ側が北京での会談でこうした行為について中国側に直接、懸念を伝えたと明らかにしました。

その上で「誰かが判断ミスを犯し、けがをするのは、そう遠くはないだろう。ただ、そんなことはあってはならない」と述べ、遮断されたままの米中の軍どうしのホットラインを再開させるよう改めて求めました。

また、カービー調整官は「さらなる対話を行う上で進展があった」と述べました。

中国 “厳正な立場を表明 意思疎通続けることで合意”

中国外務省によりますと、会談で双方は「両国関係の改善を促進することや意見の違いを適切に管理することなどを巡り、率直かつ建設的で実りある意思疎通を行った」としています。

そのうえで「中国側は、台湾など、重大な原則的な問題について厳正な立場を表明するとともに、双方は意思疎通を続けることで合意した」ということです。