【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる6日(日本時間)の動きを詳しくお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

「ロシア国境のラジオ局 ハッキングで偽情報流布」ロシア通信社

ロシアの国営通信社は5日、ウクライナと国境を接するベルゴロド州などで地元のラジオ放送がハッキングされ、プーチン大統領の緊急演説だとする放送が流れたと伝えました。

これについてベルゴロド州の当局はSNSに「ハッキングされたラジオ局の放送だとする動画がネット上で拡散した」と投稿した上で、放送では、ウクライナ軍が越境してベルゴロド州や隣接するクルスク州などに侵入したと伝えているとしています。そして、国境の地域に戒厳令が導入され、プーチン大統領が総動員令に署名するとして、住民に対して国境から離れた地域へ避難するよう呼びかける内容だったとしています。

州の当局はこの放送について「偽情報だ。住民がパニックを起こすことをねらったものだ」として住民に平静を保つよう求めています。

ロシア国防省「独製の戦車『レオパルト』8両破壊」

ロシア国防省は6日未明、ウクライナ軍が5日、東部ドネツク州の南方面で再び攻撃を仕掛けてきたとしたうえで、これを阻止したと発表しています。

そして「ウクライナ軍の兵士1500人以上やドイツ製の『レオパルト』8両を含む戦車28両、装甲車などを破壊した」と強調しています。

“ロシア軍が水力発電所のダムを破壊” ウクライナ軍発表

ウクライナ軍は6日、南部ヘルソンのドニプロ川にある水力発電所のダムが破壊されたと発表しました。

地元の知事は、大量の水が下流に流れ住民が避難を始めているとしています。

このダムは、ロシアが占領している地域にあり、ザポリージャ原子力発電所はこのダムから冷却水を得ているということです。

ウクライナ側は、ダムはロシア軍によって破壊されたと主張していて、ゼレンスキー大統領も出席して国家安全保障会議を開き対応を協議しています。

ワグネル代表プリゴジン氏「ロシア軍は静かに逃げ出している」

ロシア国防省などとの確執が伝えられるロシアの民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏は5日「部隊は静かに逃げ出している。恥ずべきことだ」としてロシア軍の部隊がバフムト近郊から撤退しているとしています。

さらに、プリゴジン氏はSNSでロシア国防省について言及し「国防省の主な目的はすべてが順調で、自分たちが前進しているかのように見せることだ。しかし実際には、2週間で大きな戦術的な敗北となるだろう」と主張しました。

ウクライナ “東部戦線で攻撃的な作戦展開” と主張

ウクライナ東部の戦況を巡りロシア国防省は5日に「敵は5か所の戦線で大規模な攻撃を開始した」と発表し、ウクライナ軍が東部ドネツク州のロシア側の支配地域で反転攻勢を仕掛けたものの、撃退したと主張しています。

これに対してウクライナ国防省はSNSで「ロシア軍は情報戦や心理戦を強化している。人々の士気をくじき、惑わせるために、反撃作戦やウクライナ軍の損失についての偽情報を広めてくる」と指摘しました。
さらに、マリャル国防次官は5日にSNSで「ロシアが積極的に反転攻勢の情報を流すのは、バフムト方面での敗北から注意をそらすためだ」という見方を示し、ウクライナ軍が東部ドネツク州の拠点バフムトの周辺で攻撃に転じていると主張しました。

その上で「敵は守勢にまわっている」と書き込み、ウクライナ軍が東部の戦線で攻撃的な作戦を展開し、いくつかの地域では前進もあったとしています。

ロシア西部の戦闘 2つの組織が関与主張

ウクライナと国境を接するロシア西部のベルゴロド州で続いている戦闘をめぐってはプーチン政権に反対するロシア人などの義勇兵を名乗る2つの組織が関与を主張し、4日にはSNSに複数のロシア兵を捕虜にしたとする動画を投稿しました。

こうした中、ロシアの国営通信社は5日、国境地域でラジオ放送がハッキングされ、プーチン大統領の緊急演説だとする放送が流れたと伝えました。

ベルゴロド州の当局は、ウクライナ軍が越境して地域に戒厳令が導入されたといった情報が拡散したとSNSで明らかにした上で、偽情報だとして平静を保つよう住民に求めています。
ロシア大統領府の報道官までもがロシア通信に「完全なフェイクだ」と否定する事態になり、地域の住民の間で動揺が広がっていることもうかがえます。

ゼレンスキー大統領「ロシア 私たちの前進にうろたえている」

ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、SNSで動画を公開し、「東部のバフムト方面で、期待していたニュースを届けてくれた兵士たちに感謝する。ロシア側がバフムトでの私たちの前進にいかにうろたえているかがわかる」と述べ、東部ドネツク州を中心に、ウクライナ軍の部隊が前進していると強調しました。

また「ウクライナの防衛のためのあらゆる支援に感謝する。特に巡航ミサイルの『ストームシャドー』は、前線で極めて高い効果を発揮している」として、イギリスが供与した射程が250キロ以上と長い高精度の巡航ミサイルが、実戦で成果をあげているという認識を示しました。

一方で、焦点となっている大規模な反転攻勢がすでに始まったかどうかについては、言及していません。

ウクライナ外相「反転攻勢に十分な兵器」

ウクライナのクレバ外相は5日、首都キーウでロイター通信のインタビューに応じ、反転攻勢について「国防省が表明したように発表されることは無い」と述べ、開始する時期については明らかにしませんでした。

一方で「反転攻勢を始めるための十分な兵器を受け取っている」と述べ、ウクライナ軍が反転攻勢をいつでも開始できるという考えを示しました。

その上で「反転攻勢を必要なだけ続けるには物資の補給を持続的に行えるようにすることが重要だ」と強調し、継続した支援を訴えました。

また、ウクライナが目指すNATO=北大西洋条約機構への加盟について「戦場で成功を収めるほど、容易に決定を得られやすくなる」と述べ、NATO加盟に向けても反転攻勢の成果が重要だという認識を示しました。

イギリスのテレビ局 “イランがロシアに弾薬も許与か”

イギリスのテレビ局、スカイニュースは5日、イラン国防軍需省が去年9月にロシアの兵器関連企業との間で弾薬の売買について交わした契約書とみられる文書を入手したと伝えました。

公開された文書ではイランがロシアに売却するりゅう弾砲や戦車に使われるさまざまな弾薬など、およそ175万ドル、日本円で2億4000万円余りに相当する兵器が、それぞれの量や値段とともにリスト化されています。

また、輸送には両国の間に位置するカスピ海に面したイラン側のアンザリ港とアミラバド港や、首都テヘランの空港を利用することが想定されています。

スカイニュースはこの文書が弾薬のさらなる供与に向けたサンプルの売買に関する契約書で「100%本物だ」と話す治安当局者の見方も伝えています。

これまでイランをめぐっては、ロシアに無人機を供与しているとウクライナなどが非難してきましたが、ことしに入り、複数の欧米メディアが、弾薬もロシアに供与している疑いがあると報じていました。

これに対し、イラン政府は弾薬を含めウクライナで使われる兵器の供与を一貫して否定しています。

ロシア国営通信 “大統領の緊急演説 放送” も大統領府が否定

ロシアの国営通信社は5日、国境地域でラジオ放送がハッキングされ、プーチン大統領の緊急演説だとする放送が流れたと伝えました。

ベルゴロド州の当局は、ウクライナ軍が越境して地域に戒厳令が導入されたといった情報が拡散したとSNSで明らかにした上で、偽情報だとして平静を保つよう住民に求めています。

ロシア大統領府の報道官までもがロシア通信に「完全なフェイクだ」と否定する事態になり、地域の住民の間で動揺が広がっていることもうかがえます。