記録的大雨 各地で住民が後片づけに追われる

「線状降水帯」が相次いで発生し、記録的な大雨となった東海・関東・近畿の各地で、4日も各地で住民が後片づけに追われました。

茨城 取手 消防が取り残された人の救助活動 85人救助 けが人なし

およそ1120世帯が暮らす取手市双葉地区の住宅地は、2日からの大雨で広い範囲が浸水しました。

地区の一部は4日も浸水が残り、午前中、消防が住宅に取り残された人たちの救助活動を行いました。

消防隊員はひざの上まで水につかりながらボートを手でこいで、浸水した住宅地を回っていました。

消防によりますと、救助活動は4日午後1時に終わり、合わせて85人を救助して、けがをした人はいなかったということです。

一方、地区では住民が自宅の中や庭などにたまった泥をかき出したり、流れ込んだゴミを片づけたりする作業に追われていました。

地区に50年ほど暮らす女性は「水かさがあがってきて、家の中の冷凍庫が水につかって動かなくなりました。このあとの家の掃除などが大変です」と話していました。

取手市によりますと、双葉地区の浸水は4日夕方までにほぼ解消され、これまでに、床上まで水につかった住宅が436棟、床下が浸水した住宅が165棟で、合わせて601棟の浸水被害が確認されたということです。

市は、コメや水、簡易トイレを支援物資として、自治会を経由して希望した世帯に配布しています。

茨城 2人が軽いけが 取手市など451件の床上浸水

茨城県防災・危機管理課が4日午後6時時点でまとめたところによりますと、今回の大雨で県内ではこれまでに2人が軽いけがをしたということです。

県と消防によりますと、龍ケ崎市で、70代の男性が、雨漏りした自宅の階段で滑って転倒したほか、牛久市で、冠水した道路にいた車のドアが開かなくなり、80代の男性が救助され、それぞれ病院に搬送されたということです。

続いて、建物の被害です。住宅などが床上まで浸水したのは451件です。自治体別では、取手市が436件と最も多くなっています。このほか、土浦市で4件、茨城町で3件、龍ケ崎市、稲敷市、それに、小美玉市でそれぞれ2件、水戸市、鉾田市でそれぞれ1件です。

床下浸水は13の市と町で、208件、確認されたということです。このほか、道路の冠水などが123か所となっています。

一方、取手市によりますと、4日午後9時の時点で、11世帯、19人が避難所に避難しているということです。取手市では、5日午前8時半から罹災証明の受け付けを始めることにしています。受け付ける場所は、取手市役所と取手市役所藤代庁舎です。

埼玉 越谷「4年前に床をかさ上げしたが 今回も浸水」

気象庁によりますと、埼玉県越谷市では3日朝までの24時間雨量が260.5ミリと観測史上最多となり、住宅の浸水や道路の冠水が相次ぎました。

越谷市内では、4日も住民たちが後片づけに追われていて、越谷市弥十郎の床上まで浸水した住宅では住民が水でぬれた本などを住宅の外に出していました。

この家に住む40代の男性は「4年前の台風で床上浸水して床をかさ上げしましたが、今回も浸水してしまいました。避難先から戻ってきたときはがく然としました。どこから手をつけていいか分からないです」と話していました。

また、道路では、冠水の影響で立往生した車をレッカー車で移動させる作業が行われていました。

車を運転していた50代の女性によりますと、3日午前0時ごろ、家の駐車場から近くの家電量販店の駐車場に車を避難させようとしたところ、動かなくなり、未明からレッカー車での対応を依頼していましたが、業者から道路の水がひかないので時間がかかると言われ、4日朝まで車を移動させられなかったということです。

女性は、一時車に閉じ込められましたが、避難して無事だったということで「車に閉じ込められたのは初めてで、パニックになりました」と話していました。

埼玉 越谷など浸水 約3700件

3日までの大雨で、埼玉県内では越谷市や松伏町などであわせておよそ3700件の住宅などで浸水被害が確認され、県は各自治体と連携して復旧を急ぐことにしています。

気象庁によりますと、越谷市ではきのう午前6時10分までの24時間の雨量が、260.5ミリと観測史上最多となりました。

住宅の浸水被害が相次ぎ、埼玉県の4日午後5時のまとめでは、いずれも概数で床上浸水が600件、床下浸水が3100件のあわせて3700件となっています。

中でも、越谷市では床上浸水が500件、床下浸水が2400件、松伏町では床上浸水が100件、床下浸水が700件にのぼっていて、このほか草加市や三郷市などでも被害が確認されています。

各自治体は、被害状況をさらに詳しく調べるとともに、県は、被害が大きい自治体に職員を派遣し、連携して復旧を急ぐことにしています。

和歌山市 川の近くの住宅などの被害状況調査

今回の記録的な大雨で多くの住宅が水につかるなどの被害が出た和歌山市では、市の職員が川の近くの住宅などを回って被害状況の調査を行っています。

4日は、和歌山市の職員20人余りが調査に当たりました。

氾濫した亀の川の近くにある80代の女性の住宅では、水が掘りごたつの中に入り、畳にも水がしみこんでいて、職員が女性から被害状況を聴き取ったり写真を撮ったりしていました。

女性は「40年以上この場所に住んでいますが、これほどまでの被害が出たのは初めてです。自分が住んでいる地域でもこんなことが起きるなんて思いませんでした」と話していました。

和歌山市総合防災課の北本真之主事は「被害が出て大変な思いをしている方も多いので、迅速に対応していきたい」と話していました。

和歌山県によりますと、今回の大雨などの影響で県内で被害が出た住宅は少なくとも179棟に上り、このうち、全壊が2棟、半壊が1棟、一部破損が2棟、床上浸水が26棟、床下浸水が148棟となっています。

また、和歌山県では川に流されるなどして男女2人の行方が分からなくなっていて、警察や消防は、5日も捜索を続けることにしています。

愛知 豊川などで災害ごみの受け入れ始まる

記録的な大雨で被害を受けた愛知県豊川市では、今回の記録的な大雨で住宅が床上まで水につかるなどの被害が出ていて、4日も朝から住民が水をにつかった畳などを運び出していました。

豊川市では4日から市内の千両町にある「三月田最終処分場」で災害ごみの受け入れを始め、住民が水につかった家電や畳などを車や軽トラックに乗せて持ち込んでいました。

畳を運び込んだ67歳の男性は「地区の神社の事務所が浸水してしまったので、近くの住民で協力して畳を持ち込みました。あと半分くらい残っているので、もう1往復頑張ります」と話していました。

豊川市では、今月9日までの間、午前9時から午後3時まで無料で災害ごみを受け入れる予定です。

また、愛知県では今回の大雨で住宅などが浸水被害を受けた豊橋市も、市内の3か所で災害ごみを受け入れています。

愛知 豊川 バラの農業用ハウスが水につかる 花は廃棄

豊川市を中心とした愛知県の東三河地域は、全国有数のバラの産地です。

このうち豊川市金沢町で15年ほど前からバラを生産している佐久間栄次さん(38)によりますと、今回の大雨で農業用ハウスが一時2メートルほどの高さまで水につかったということです。

3棟ある佐久間さんのハウスでは、栽培しているすべてのバラで花や葉に泥がついてしまい、廃棄せざるをえないということです。

また、ハウス内の温度を一定に保つための空調設備や水や肥料を送る設備も壊れてしまい、栽培を再開できるめどは立っていないということです。

佐久間さんの農業用ハウスがあるのは愛知県東部を流れる豊川の流域で増えた水を堤防の外に逃がすことで大規模な決壊による洪水を防ぐ「霞堤」が整備された地域だということです。

佐久間さんは「これまでも大雨で浸水することはありましたが、これほどの高さになるのは初めてです。ことしはバラの発育状況がよかっただけに、とてもショックです」と話していました。

愛知 豊川 菊栽培の農業用ハウス 苗が倒れる

愛知県豊川市は、菊やカーネーションなどの生産も盛んです。

市内の二葉町で観賞用の菊を栽培している40代の男性によりますと、3日の朝、農業用ハウスの様子を確認したところ、足首ぐらいまでの高さまで水につかっていたということです。

そして、4日に改めて確認したところ、複数の苗が倒れていたということです。

このハウスで栽培している菊はお盆に向けて出荷を予定しているということで男性は「水につかってしまったことで、今後枯れたり開花が遅れたりといった影響が出ないか心配です」と話していました。