日中防衛相会談 安全保障上の懸念伝え 意思疎通の強化呼びかけ

浜田防衛大臣は、訪問先のシンガポールで中国の李尚福 国防相と会談し、防衛当局間のホットラインを引き続き適切かつ確実に運用するとともに、対話や交流を推進していくことで一致しました。

対面では初めてとなる両氏の会談の冒頭、浜田大臣は「日中両国には尖閣諸島を含む東シナ海情勢やわが国周辺海空域での中国軍の軍事活動の活発化など安全保障上の多くの懸念が存在する」と述べました。

そして、「率直な議論を重ねることで、建設的かつ安定的な関係の構築に向けて努力することが重要だ」と意思疎通の強化を呼びかけ、李国防相も同様の考えを示したということです。

また、浜田大臣は中国がロシアと連携して日本周辺で軍事的活動を継続していることへの重大な懸念を示すとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調しました。

さらに、北朝鮮が弾道ミサイル技術を使用した軍事偵察衛星の打ち上げを強行したことを強く非難しました。

一方、会談では、先月運用が始まった防衛当局間のホットラインを引き続き適切かつ確実に運用するとともに、防衛当局間の対話や自衛隊と中国軍の交流を推進していくことで一致しました。

中国国防相 台湾問題で日本を強くけん制

中国の李尚福 国防相は会談の冒頭「大臣と率直かつ突っ込んだ意思疎通を行い、両国と両国防衛関係の安定的、長期的な発展を推進するために努力し、貢献したい」と述べました。

そのうえで、台湾について「台湾問題は完全に中国の内政の問題であり、『台湾独立』勢力に誤ったシグナルを発信しないよう希望する。さらに台湾問題に手を出さないよう希望する」と述べて、日本側を強くけん制しました。

さらに沖縄県の尖閣諸島についても触れ「釣魚島問題は中日関係のすべてではない。双方が長期的、大局的な視点からこの問題を捉えるべきだ。日本側が中国に歩み寄り、摩擦や衝突を避けるよう希望する」と述べました。

また、会談のあと、李 国防相は報道陣の問いかけに対し「よい会談だった」と述べ、日本側との会談の成果を強調しました。