日米韓 北朝鮮弾道ミサイル情報の即時共有 本格運用開始で合意

日米韓3か国の防衛相会談がシンガポールで行われ、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を受けて、発射に関するデータをリアルタイムで共有する仕組みについて、年内に本格的な運用を開始することで合意しました。

「アジア安全保障会議」に出席するためシンガポールを訪れている浜田防衛大臣は、アメリカのオースティン国防長官韓国のイ・ジョンソプ国防相とおよそ1時間会談しました。

共同声明によりますと、会談では、さきの北朝鮮による軍事偵察衛星の打ち上げを国連安保理決議の深刻な違反だとして非難し、2回目の打ち上げを可及的速やかに行うとしていることから、今後に備えて、3か国で強固に対応していくことを確認しました。

また、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイルの発射を受けて発射に関するデータを、リアルタイムで共有する仕組みについて、年内に本格的な運用を開始することで合意しました。

今後数か月以内に初期的な運用開始を目指すということです。

さらに会談では北朝鮮の核・ミサイルの脅威への対応を強化するため、ミサイル防衛などの訓練を定例化させることや、アメリカが核戦力を含む抑止力で同盟国を守る「拡大抑止」の必要性についても確認しました。

ミサイル情報即時共有とは

北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射をめぐっては同盟関係にある日本とアメリカ、アメリカと韓国の間ではミサイルデータを直ちに共有する仕組みがあります。

しかし、同盟関係にない日本と韓国の間では事後的な情報の共有にとどまっています。

日米韓3か国は去年11月にカンボジアで行われた首脳会談で対処力を向上させるため、発射に関する警戒データの即時共有を目指すことを確認しました。

これを受けて、3か国の防衛当局で仕組みの構築に向けた協議が進み今回、日本と韓国にとっていずれも同盟国であるアメリカを経由して情報を即時共有することで合意しました。

韓国は、北朝鮮が発射した直後の低い高度の動きを日本より把握しやすいことから、防衛省によりますと、情報の共有によって迎撃能力や避難情報の発信の向上につながることが期待されているということです。

浜田防衛相「早期に実現できるよう取り組む」

会談のあと浜田防衛大臣は記者団に「ミサイルの探知など各国の能力を向上させるためのもので、早期に実現できるようしっかり取り組んでいきたい」と述べました。

米国防長官“日米韓の枠組みで北朝鮮への対応強化”

アメリカのオースティン国防長官は日米韓3か国の防衛相会談の前に行った講演で「日本と韓国がより緊密に協力するための重要な一歩を踏み出したことに敬意を表する。両国の強い結び付きは地域にとってよいことだ」と述べて、日韓関係の改善に向けた動きを歓迎しました。

そして日本と韓国の間で北朝鮮のミサイル発射に関するデータを即時に共有できるよう検討を進めていると説明し、日米韓3か国の枠組みで核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応を強化する考えを強調しました。

米韓 北朝鮮の「衛星」部品を共同調査へ

日米韓3か国の防衛相会談に先立ち、アメリカのオースティン国防長官と韓国のイ・ジョンソプ国防相が会談しました。

韓国国防省の関係者によりますと、両氏は北朝鮮の軍事偵察衛星の打ち上げ失敗について意見を交わしたということです。

この中で、韓国軍が発見した、朝鮮半島西側の黄海に落下した部品の一部と推定される物体について、引き上げた後、米韓両国が共同で調査することで一致したとしています。

韓国軍は、長さおよそ15メートル、直径が2メートルから3メートルほどの物体を海中で発見していて、現在、引き上げのための作業を続けています。