政府 国内の食料ひっ迫時 買い占め防止など新たな法制度検討へ

ロシアによるウクライナ侵攻や気候変動問題をきっかけに食料の安定供給が課題となる中、政府は、国内で食料の需給がひっ迫した場合、消費者による買い占めの防止などを行えるようにする新たな法制度の検討を進めるなどとする食料政策の指針を取りまとめました。

政府は2日、岸田総理大臣や野村農林水産大臣などが出席する「食料安定供給・農林水産業基盤強化本部」を開き、食料や農業政策の新たな指針を取りまとめました。

それによりますと、すべての国民が健康な食生活を送ることができるよう、平常時と、国内で食料の需給がひっ迫するような不測の事態の両面で食料安全保障を強化する必要があるとしています。

そのうえで、食料の需給がひっ迫するなど不測の事態が起きた場合には、消費者による買い占めの防止や価格高騰を抑えるための規制を行えるようにすることにしています。

さらに、輸入に過度に依存する構造を転換し、穀物や肥料などの国産化を進めるほか、生産にかかるコストの上昇分を販売価格に適切に反映できるような新たな仕組みを設けることにしています。

政府は、この新たな指針をもとに、来年の通常国会に向けて必要な法案の整備や予算措置などの検討を進めることにしています。

野村農相 法案提出に向け 検討急ぐ考え示す

食料安全保障の強化に向けて、政府の新たな指針が取りまとめられたことについて、野村農林水産大臣は閣議のあとの会見で「世界的な人口増加や気候変動による食料安全保障の環境変化、そして環境との調和など持続可能性に向けた国内外の動き、さらに国内の人口減少に伴う食料供給力のぜい弱性、これらを背景に指針を取りまとめた」と述べました。

そのうえで「この指針に基づいて、来年の通常国会での法案提出に向けた作業を加速化し、各政策の具体化や工程表の策定を進めたい」として、検討を急ぐ考えを示しました。