国連 “ウクライナ産農産物の輸出は半分以下 ロシアが制限”

ウクライナ産農産物の輸出をめぐるロシアとウクライナの合意について、仲介にあたった国連は、ロシア側が港で制限を設けているため、先月の輸出量は前の月に比べて半分以下だったと明らかにし、懸念を示しました。

ロシアとウクライナは去年7月、国連とトルコの仲介でウクライナ産農産物の輸出再開で合意し、合意期限はその後3度延長されことし7月中旬までとなっています。

これに関連して、国連のデュジャリック報道官は1日、ニューヨークの国連本部で開いた定例の会見で、先月、ウクライナの港から出発した船は前の月の半分の33隻、輸出された農産物は130万トンで前の月の半分以下だったと明らかにしました。

デュジャリック報道官は「ロシア側は、自国産の肥料の輸出が実現されないかぎり、港での船の登録を制限するという決定をして通知してきた」としたうえで、「食料価格の高騰がすべての国に及びかねない」と懸念を示しました。

国連はウクライナ産農産物の輸出が合意どおりに行われるよう各国と協議を続けるとしているものの、ロシア側はこれまで、ロシア産の農産物や肥料の輸出が滞っていると繰り返し主張しており、今後の協議の行方が焦点となります。

“損失は10億ドル以上” ウクライナ

これについてウクライナのインフラ省は1日、SNSで声明を発表し先月30日から31日までの2日間で、ロシア側は1隻の船しかウクライナへの入港を認めず、トルコの海域で50隻が待機しているとしています。

中には3か月も待たされている船もあるとしていて入港の遅れによる損失は10億ドル以上にのぼり、世界の食料価格の高騰に拍車をかけていると非難しています。