【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

英国防省“ロシアは国境地域と占領地域の防衛でジレンマ”

ウクライナ空軍は2日、首都キーウなどでロシア側から飛来したイラン製の無人機21機と巡航ミサイル15発を迎撃したとして「敵の攻撃は失敗に終わり、ウクライナの防空は再び成功した」と強調しました。

一方、ロシア各地の当局によりますと、2日、モスクワ州の西にあるスモレンスク州の燃料施設が2機の無人機の攻撃を受けたほか、ウクライナとの国境に近い西部クルスク州でもビルなどが複数の無人機の攻撃を受け、西部ブリャンスク州では国境に近い2つの村がウクライナ軍の砲撃を受けたということです。

また西部ベルゴロド州では、これに先立つ1日にもウクライナ側から砲撃があり、州知事が2日になって女性2人が死亡したと発表していて、プーチン政権に反対するロシア人などの義勇兵を名乗る2つの組織が攻撃への関与を主張しています。

戦況を分析しているイギリス国防省は2日、ロシア軍が国境防衛のために攻撃用ヘリコプターやロケットランチャーなど多くの兵器を配備せざるを得なくなっていると指摘し「ロシア軍は自国の国境地域か、ウクライナ占領地域か、どちらの防衛を強化するかという深刻なジレンマに直面している」と分析しています。

米国防総省 ウクライナ支援のため「スターリンク」と契約

アメリカ国防総省はロシアによる軍事侵攻が続くウクライナを支援するため、アメリカの宇宙開発企業「スペースX」の衛星を使った高速インターネット接続サービスと契約したと明らかにしました。

このサービスはアメリカの実業家、イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業「スペースX」の衛星を使った高速インターネット接続サービス「スターリンク」です。

ウクライナ軍が偵察用の無人機などでロシア軍の位置情報を収集し、攻撃する際にも利用するなど、重要な役割を果たしているとされています。

「スペースX」はロシアによるウクライナ侵攻以降、このサービスをウクライナに無償で提供してきましたが、マスク氏が去年10月、多額の費用がかかることなどから、長くは続けられないとの考えをにじませていて、その行方が注目されていました。

国連 “ウクライナ産農産物の輸出は半分以下 ロシアが制限”

ウクライナ産農産物の輸出をめぐるロシアとウクライナの合意について、仲介にあたった国連は、ロシア側が港で制限を設けているため、先月の輸出量は前の月に比べて半分以下だったと明らかにし、懸念を示しました。

ロシアとウクライナは去年7月、国連とトルコの仲介でウクライナ産農産物の輸出再開で合意し、合意期限はその後3度延長されことし7月中旬までとなっています。

これに関連して、国連のデュジャリック報道官は1日、ニューヨークの国連本部で開いた定例の会見で、先月、ウクライナの港から出発した船は前の月の半分の33隻、輸出された農産物は130万トンで前の月の半分以下だったと明らかにしました。

デュジャリック報道官は「ロシア側は、自国産の肥料の輸出が実現されないかぎり、港での船の登録を制限するという決定をして通知してきた」としたうえで、「食料価格の高騰がすべての国に及びかねない」と懸念を示しました。

国連はウクライナ産農産物の輸出が合意どおりに行われるよう各国と協議を続けるとしているものの、ロシア側はこれまで、ロシア産の農産物や肥料の輸出が滞っていると繰り返し主張しており、今後の協議の行方が焦点となります。

入港の遅れで“損失は10億ドル以上” ウクライナ

ウクライナのインフラ省は1日、SNSで声明を発表し先月30日から31日までの2日間で、ロシア側は1隻の船しかウクライナへの入港を認めず、トルコの海域で50隻が待機しているとしています。

中には3か月も待たされている船もあるとしていて入港の遅れによる損失は10億ドル以上にのぼり、世界の食料価格の高騰に拍車をかけていると非難しています。

モルドバで欧州の結束示す国際会議 ゼレンスキー大統領も参加

ロシアによる侵攻が続くウクライナの隣国モルドバにヨーロッパ各国の首脳が集まり、結束を示す国際会議が開かれ、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加しました。ゼレンスキー大統領は各国に供与を求めた戦闘機について「多くの国から力強い支援の話があった」と述べました。
ロシアによる軍事侵攻が始まったあと、EU=ヨーロッパ連合の枠組みを超えて設立された「ヨーロッパ政治共同体」は1日、ウクライナの隣国モルドバで首脳会議を開き、EU加盟国のほか加盟していないバルカン半島の国々などからおよそ50人の首脳らが参加しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領も事前の予告なしに参加し、会議の冒頭で「防空システムや戦闘機の供与が早期の平和をもたらす」と述べ、各国に軍事支援の強化を求めました。
会議のあとの記者会見で、ゼレンスキー大統領は戦闘機の供与をめぐって具体的な国名などには触れなかったものの「多くの国から力強い支援の話があった。数多くの戦闘機について話があった」と述べました。

モルドバのサンドゥ大統領は「必要なかぎりウクライナに寄り添うとゼレンスキー大統領に伝えた。ヨーロッパの安定が脅威にさらされているこのときにわれわれは強さと結束を示した」と述べて、会議の意義を強調しました。

プーチン大統領の側近「モルドバの参戦促している」

ロシアのプーチン大統領の側近のひとりで、治安機関FSB=連邦保安庁のボルトニコフ長官は1日、同盟関係にあるベラルーシの治安機関などとの会合に参加しました。

そして「西側諸国は、モルドバにウクライナ紛争への参戦を積極的に促し、沿ドニエストル地方を掃討しようとしている」と述べ、欧米各国やモルドバをけん制しました。

モルドバ東部の沿ドニエストル地方は、モルドバからの一方的な分離独立を宣言し、ロシア軍が駐留するなどロシアの強い影響下にある地域で、欧米寄りのモルドバのサンドゥ政権は、ウクライナに侵攻したロシア軍が将来、沿ドニエストル地方にも侵攻してこないか、警戒を強めています。

ゼレンスキー大統領 NATO加盟の手続き開始求める

モルドバを訪れたウクライナのゼレンスキー大統領はウクライナが目指すNATO=北大西洋条約機構への加盟をめぐり「NATOの首脳会議では加盟に向けてウクライナを招くこと、そして加盟までの間安全を保証することが必要だ」と述べ、7月に予定されている首脳会議で加盟に向けた手続きの正式な開始を決めるよう求めました。

この点について、NATOも1日までの2日間、ノルウェーで開いた外相会議で意見を交わしました。
会議のあとの記者会見でストルテンベルグ事務総長は「すべての加盟国はウクライナが将来的に加盟することで合意している。プーチン大統領が二度とウクライナを攻撃できないよう必要な保証を提供するにはどのような枠組みを設けられるのか検討が必要で、その詳細は今後決めることだ」と述べるにとどめました。
また、アメリカのブリンケン国務長官は「われわれは、NATOとウクライナの関係をさらに強化し、NATOの基準に近づけ、相互運用性を高めようと取り組んでいる」と述べた上でNATOの首脳会議では、将来的にウクライナの安全を確保していくための軍事面や政治面での支持が表明されるとの見通しを示しました。

プーチン政権 ウクライナから攻撃相次ぎ警戒か

ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の知事は1日、国境近くのシェベキノなどで砲撃を受け、あわせて10人がケガをしたとSNSで明らかにしました。
これについてロシア国防省は「ウクライナによる3度にわたる攻撃を撃退した」として、ロシアへの侵入を阻止したと主張しました。
これに対して、プーチン政権に反対するロシア人などの義勇兵を名乗る「自由ロシア軍」と「ロシア義勇軍」の2つの組織が1日、SNSで攻撃の関与を主張する動画を投稿し「第2段階の始まりだ」とか「ロシア全土を解放する」などと表明しています。

2つの組織は5月22日もベルゴロド州で戦闘を行ったと主張していて、プーチン政権は、ウクライナ側からの越境攻撃が相次いでいるとして、一段と警戒を強めているものとみられます。

ロシアの軍事侵攻以降 ウクライナで子ども484人死亡

6月1日はウクライナで「子どもの日」とされ、現地の検察当局はロシアが軍事侵攻を始めた去年2月以降の子どもの犠牲について「占領地域や激戦地では情報の収集が困難だ」とした上で、判明しているだけで484人が死亡、992人がケガをしたと発表しました。

キーウ ミサイル攻撃で「子どもの日」の行事中止

ウクライナでは6月1日は「子どもの日」で、各地でさまざまなイベントが開かれます。しかしキーウでは1日もミサイル攻撃があり、撃墜されたミサイルの破片が住宅街に落下して9歳の女の子を含む3人が死亡しました。

キーウ市当局はロシア軍による相次ぐ攻撃で子どもにも犠牲が出ているとして、1日に予定されていた「子どもの日」の関連行事をすべて中止すると発表しました。
ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、亡くなった女の子の遺体のそばにうなだれて座る祖父の写真をSNSに投稿し、「この写真を見るのはとてもつらい。彼は孫のそばを離れられず、現実を受け止められない。攻撃を続けるロシアが、死と破壊しかもたらさないことをまたも思い知らされた」としてロシアを強く非難しました。