陸上日本選手権 女子1500m予選 田中希実 トップタイムで決勝へ

陸上の日本一を決める日本選手権が6月1日、大阪市で開幕し、女子1500メートル予選では大会4連覇を目指す田中希実選手が、4分15秒19の全体トップのタイムで、2日の決勝に進みました。

ことし8月にハンガリーで開かれる世界選手権の代表選考を兼ねた陸上の日本選手権は6月1日、大阪市のヤンマースタジアム長居で開幕し、4日間34種目で日本一を競います。

1日は大会最初の種目として女子1500メートルの予選が行われ、1組目には、おととしの東京オリンピックで日本選手として初めて8位入賞を果たした田中選手が出場しました。

この種目で大会4連覇を目指す田中選手はスタートから飛び出すと、1度も先頭を譲らない貫禄の走りを見せて1着でフィニッシュし、4分15秒19の全体トップのタイムで決勝に進みました。

また2組目には、田中選手と高校時代からの同級生で、去年のこの大会で2位だった後藤夢選手が出場し、終盤に順位を落としたものの、4分17秒35のタイムで4着でフィニッシュし、決勝進出を果たしました。

女子1500メートルの決勝は2日に行われ、NHKは総合テレビで生中継します。

田中「世界に通用する走りがしたい」

全体トップのタイムで決勝に進んだ田中希実選手は、「リラックスして、力みすぎないことを意識した。予選からきつさを感じてしまうことが多いが、きょうは自分の体の状態を確かめながら走ることができた」と、予選のレースを振り返りました。

そして、4連覇がかかる2日の決勝に向けては、「変に考えすぎずに、きょうのいいイメージを信じて臨みたい。世界を意識して、世界に通用する走りがしたい」と話していました。

後藤「決勝は田中選手に絡める走りをしたい」

女子1500メートルの予選の2組目4着で決勝進出を決めた後藤夢選手は、先頭を引っ張り続けながら、終盤で失速したレース展開を振り返り、「スローペースではリズムが崩れると思い前に出たが、終盤、力まなくていい場面なのに力が入って、メリハリのある走りができなかった。あすの決勝は、タイムよりも順位を大事にして、田中希実選手に絡める走りをしたい」と、前を向いていました。

新たなファン獲得へ「カメラ女子席」を新設

ことしの陸上の日本選手権では、新たなファンを増やそうと女性限定で本格的なカメラで選手を撮影し、SNSなどで発信できる座席が設けられました。

「カメラ女子席」と名付けられたこの席は、一眼レフカメラなど本格的なカメラを趣味とする女性を対象に1日15席で、今大会初めて設けられました。

座席は、トラックのフィニッシュ地点が正面に見える観客席の一角にあり、報道陣とほぼ同じ場所から撮影することができます。

撮影した写真は、事前に申請したSNSのアカウントに限って投稿することができるほか、日本陸上競技連盟のホームページなどでも紹介されるということで、訪れた女性たちは“推し”の選手たちの姿に、思い思いにシャッターを切っていました。

山口県から訪れた22歳の女性は、「フィニッシュの瞬間を正面から撮れるのがうれしい。応援している選手の頑張っているかっこいい姿を撮りたい」と話していました。

また広島県から訪れた19歳の女性は、「トップ選手は速いので、撮影が大変ですが、フィニッシュの瞬間を逃さないように撮りたい」と話していました。

2日の競技 大雨予想のため一部延期

陸上の日本選手権が開催されている大阪市では2日、大雨が予想されていることから日本陸上競技連盟は、日程の一部を延期する対応を決めました。

延期されるのは2日に予定されていた、女子の棒高跳び決勝と三段跳び決勝で、この2種目については大会3日目の今月3日にそれぞれ延期して決勝を行うとしています。

盗撮などからアスリート守る初めての啓発活動も

6月1日に開幕した陸上の日本選手権では、アスリートを盗撮などの迷惑行為から守るための啓発活動が初めて行われました。

スポーツ界では、アスリートが競技会場などで盗撮される被害や写真や動画がSNSなどで拡散されるといった迷惑行為が相次いでいて、大きな課題となっています。

こうした事態を受けて、日本陸上競技連盟はアスリートを盗撮などから守るための啓発活動をことしの大会で初めて行いました。

具体的には、「アスリートやスポーツを守ろう」と英語で書かれた白いリボン1000個が選手や関係者に配られ、着用が呼びかけられたほか、観客に対しては会場で不審な行為を見かけた場合に通報できるQRコードなどが記載されたチラシ2000枚が配られました。

また、競技場内の手すりなどには通報用のQRコードが貼られていて、会場ではアスリートなどが場内アナウンスで、盗撮などの行為を見かけた場合は通報してほしいと呼びかけました。

日本陸上競技連盟は、「アスリート自身にも自分のこととして考えてほしいという思いがあり、アスリートと一緒になって安心して競技に取り組める環境作りをしていきたい」と話していました。