北朝鮮 “軍事衛星”近く再発射も 政府は米韓と連携し監視強化

北朝鮮が軍事偵察衛星の打ち上げに失敗したことをめぐって、政府は近く再び弾道ミサイルの可能性があるものが発射されることもあり得るとみています。
自衛隊の迎撃態勢を維持するとともに、アメリカや韓国と連携して警戒監視を強める方針です。

北朝鮮は31日、北西部トンチャンリ(東倉里)にある「ソヘ(西海)衛星発射場」から、初めてとなる軍事偵察衛星「マルリギョン(万里鏡)1号」を新型ロケット「チョルリマ(千里馬)1型」で打ち上げましたが、新たに導入された2段目のエンジンの異常で推力を失い、朝鮮半島西側の黄海に墜落したと発表しました。

政府は、北朝鮮が可及的速やかに2回目の打ち上げを行うとしていることから、打ち上げを通報してきている今月11日までの期間内に再び弾道ミサイルの可能性があるものが発射されることもあり得るとみています。

このため、東シナ海に展開している海上自衛隊のイージス艦や沖縄県内に展開している地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」による迎撃態勢を維持することにしています。

また、浜田防衛大臣は1日、日本を訪れているアメリカのオースティン国防長官と会談し、北朝鮮への対応を協議することにしていて、再度の発射に備え、韓国を含めた3か国で連携して警戒監視を強める方針です。

北朝鮮 2回目の打ち上げ時期 慎重に見極めか

軍事偵察衛星の保有は「国防5か年計画」に盛り込まれている重要な目標で、北朝鮮の国家宇宙開発局は、可及的速やかに打ち上げを再び行う方針を示しました。

ただ、これに先立って「重大な欠陥」を具体的に解明して科学技術的な対策を講じ、さまざまな試験を経る必要があるとしています。

北朝鮮が「人工衛星の打ち上げ」の失敗を認めたのは、2012年4月以来で、その8か月後に再び打ち上げを行い、成功したと発表した経緯があります。

北朝鮮指導部は、アメリカなどの軍事行動をリアルタイムで追跡・監視する上で不可欠だとする軍事偵察衛星を地球の周回軌道に確実に乗せるためにも、2回目の打ち上げの時期を慎重に見極めるとみられます。