【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6月1日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる1日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア西部でけが人 報道官「プーチン大統領報告受けている」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は1日、ウクライナと国境を接するロシア西部のベルゴロド州で砲撃によるけが人が出ていると発表されたことについて、「現地の状況についてプーチン大統領は、国防省や、治安機関のFSB=連邦保安庁などから報告を受けている。地域の住民に必要な支援を提供する」と述べました。

またロシア国防省は1日、「ウクライナ政府が実行しようとしたテロ行為を阻止した」と発表しました。

国防省は、戦車に支援されたウクライナ側の部隊が1日未明、3度にわたりロシアへの侵入を試みたと主張したうえで「ウクライナ側のテロリスト30人以上を殺害し、装甲車などを破壊した。国境侵犯はなかった」と強調しています。

これに対し、プーチン政権に反対するロシア人などの義勇兵を名乗る「自由ロシア軍」と「ロシア義勇軍」の2つの組織がSNSで攻撃の関与を主張して動画を投稿しました。

2つの組織は、先月22日もベルゴロド州に侵入し、戦闘を行ったと主張しています。

プーチン政権は、ベルゴロド州でウクライナ側からの越境攻撃が相次いでいるとして、一段と警戒を強めているものとみられます。

ロシアFSB長官「西側がモルドバに参戦促している」

ロシアのプーチン大統領の側近のひとりで治安機関FSB=連邦保安庁のボルトニコフ長官は1日、同盟関係にあるベラルーシの治安機関などとの会合に参加しました。

そして「西側諸国はモルドバにウクライナ紛争への参戦を積極的に促し、沿ドニエストル地方を掃討しようとしている」と述べ、欧米各国やモルドバをけん制しました。

モルドバ東部の沿ドニエストル地方は、モルドバからの一方的な分離独立を宣言しロシア軍が駐留するなどロシアの強い影響下にある地域で、欧米寄りのモルドバのサンドゥ政権は、ウクライナに侵攻したロシア軍が将来、沿ドニエストル地方にも侵攻してこないか警戒を強めています。

ゼレンスキー大統領 隣国モルドバに到着

ゼレンスキー大統領は1日、ウクライナの隣国モルドバに到着したとSNSで明らかにしました。モルドバで1日開催される欧州各国の首脳たちの会議に出席するほか、2国間の会談も行い、戦闘機の供与など新たな軍事支援について話し合う見通しだとしています。

キーウ市当局「ロシア軍がミサイル攻撃 死傷者出ている」

ウクライナの首都キーウのクリチコ市長は6月1日、SNSで「市内で爆発が相次いでいる」とした上で、救急隊の話としてこれまでに子ども2人を含む3人が死亡し、少なくとも4人がけがをしたことを明らかにしました。

また、キーウの市当局はSNSで、ロシア軍が再びミサイルで攻撃を仕掛け、ウクライナ軍が迎撃したものの、落下した破片などで死傷者が出ているとしています。

ウクライナでは、5月からロシア軍が首都キーウをねらって、異例の頻度と規模で無人機やミサイルによる集中的な攻撃を繰り返しています。

国連 日本が避難民を受け入れてきた姿勢を評価

世界各地で起きる紛争や自然災害などによって1億人以上が住まいを追われ、各国で受け入れが課題となる中、日本を訪れていたUNHCR=国連難民高等弁務官事務所のケリー・クレメンツがNHKの取材に応じ、「政府や国連機関だけでなく、民間企業などを含め社会全体で向き合う必要がある」として、日本もより積極的に難民などを受け入れていくよう訴えました。

国連の去年(2022年)のまとめによりますと、全世界の人口の1%以上にあたる1億人を超える人々が紛争などによって住まいを追われ、ロシアによるウクライナ侵攻やスーダン情勢の緊張などによってその数がさらに増えることが懸念されています。

クレメンツ副高等弁務官はこうした現状に強い危機感を示したうえで、「世界人口の1%の人々を無視して世界の持続可能な発展はありえない。人々が移動を強いられなくなることが望ましいが、それが避けられない以上、いかに受け入れていくかが重要だ」と述べました。

そして、日本がことしG7の議長国に加え、年末に開かれる難民に関する国際フォーラムで共同議長国も務めることを踏まえ、国際社会をリードして難民を多く受け入れている国々との連携を図り、人材育成などの分野で積極的な支援を行うことに期待を示しました。

また、日本がこれまでウクライナからの避難民を受け入れてきた姿勢を評価したうえで、「戦争や迫害から逃れる人々をこれまでよりも多く迎え入れることを望んでいる」と述べ、社会全体で積極的に難民などを受け入れていくよう訴えました。

ゼレンスキー大統領 反転攻勢向けオデーサ州視察 作戦協議か

ウクライナ大統領府は5月31日、ゼレンスキー大統領が南部のオデーサ州を視察して地元の当局や軍の司令部の代表と会議を行ったと発表しました。

この中でゼレンスキー大統領は現地の司令官から作戦や任務遂行の準備状況について報告を受けたとしていて、領土の奪還に向けた反転攻勢を近く開始する考えを示す中、南部での今後の作戦について協議したものとみられます。

ロシア南部の燃料貯蔵施設で火災 無人機攻撃か

ロシアでは南部のクラスノダール地方にある燃料貯蔵施設で5月31日、火災が発生し、地元の知事は無人機による攻撃を受けたとみられるとSNSで明らかにしました。

また、ウクライナと国境を接する西部のベルゴロド州の知事は、ウクライナ軍の攻撃が相次ぎ死傷者が出るなど被害が広がっているとして、隣接する州に子どもたちを避難させるとSNSに投稿しました。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は記者団に「現地の状況は極めて憂慮すべき事態だが、対策は講じられている」としています。

“無人機攻撃” プーチン大統領の公邸がある地域も狙われたか

ロシア国防省が5月30日に、8機の無人機が首都モスクワなどに攻撃を仕掛けてきたと発表したことに関連して、一部の独立系メディアは、エリート層が住みプーチン大統領の公邸もあるモスクワ郊外の地域も狙われたとして、「大統領や側近たちに対する心理的な攻撃だった」とする見方を伝えています。

プーチン大統領は30日、「防空システムは改善の余地はあるが機能した」と主張しましたが、プーチン政権が事態のわい小化に努めているといった見方も出ていて、神経をとがらせているものとみられます。

ドイツ 国内にある4つのロシア総領事館の閉鎖要求

ドイツ政府は、ロシアが現地に駐在できる外交官などドイツ人公務員の数を制限したため総領事館の閉鎖を余儀なくされ、その対抗措置としてドイツ国内にある4つのロシアの総領事館の閉鎖を求めたことを明らかにしました。

ドイツは、ロシアから天然ガスを大量に輸入し、ロシアとの協力関係を重視してきましたが、ウクライナへの軍事侵攻以降は両国の間で外交官の追放が繰り返されていて、今回の応酬を受けて関係は一段と悪化するとみられます。

ロシア外務省 「新たな非友好的な措置だ」

ドイツ政府が国内にある4つのロシアの総領事館の閉鎖を求めたことに対してロシア外務省は5月31日声明を発表し、「数十年にわたる多面的で豊かな、相互利益のある両国関係をさらに破壊しようとする新たな非友好的な措置だ」と反発しました。

そのうえで、「思慮に欠ける挑発的な行動だ」と主張し、対抗措置をとることを示唆しました。