「かっぱ寿司」運営会社前社長に有罪判決 “利欲的な動機”

回転ずしチェーンの「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの前社長が、以前勤めていたライバルチェーンの営業秘密に当たるデータを不正に持ち出したなどとして罪に問われた事件で、東京地方裁判所は「転職先で地位や評価を得たいという利欲的な動機で、酌むべき点はない」と指摘し、執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの社長だった田邊公己被告(47)は3年前、ライバルチェーンの「はま寿司」の親会社から「カッパ・クリエイト」に転職した際、「はま寿司」の仕入れに関するデータをコピーして不正に持ち出し、自社のデータと比較して使用したなどとして不正競争防止法違反の罪に問われました。

31日の判決で、東京地方裁判所の平出喜一裁判官は「取引先や原価率などの情報は、はま寿司が戦略的に商品設計を行うなどした成果で、競合他社が利用すれば、商品開発や仕入れを改善できる可能性があった。転職先での地位や評価を得たいという利欲的な動機に酌むべき点はない」と指摘しました。

一方で、具体的な損害の発生は確認されていないとして、懲役3年、執行猶予4年と罰金200万円の有罪を言い渡しました。

この事件では、田邊前社長が転職する前の元部下が罰金50万円の略式命令を受けました。

法人としてのカッパ・クリエイトと、当時の商品本部商品部長は裁判で無罪を主張しています。

田邊前社長「真摯に受け止め信頼の回復に努める」

判決のあと、田邊前社長は「皆様にご迷惑をおかけして申し訳なく思っています。判決は真摯(しんし)に受け止め、信頼の回復に努めて参ります」とするコメントを出しました。

「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトは「このたびの判決を真摯に受け止めています。引き続き全社をあげて情報管理体制とコンプライアンス意識の醸成を徹底し、再発防止に努めます」とコメントしています。

一方、「はま寿司」の親会社のゼンショーホールディングスもコメントを出し、「原価データなどは長年の営業努力と試行錯誤の結晶で、競争力の源泉となる極めて重要なものであり、身勝手な動機で競合他社に持ち出され、使用されることが許されるはずがないという主張が認められたと受け止めている。同様の犯罪を抑止し、商取引の公正性を守るためにも、営業秘密侵害への抑止力を向上させる法改正の趣旨を踏まえた法執行を訴えていきたい」としています。