日銀 植田総裁 “丁寧に分析し物価の基調見極めが重要”

日銀の植田総裁は、国内外の経済学者などが参加する会議の中で、さまざまな要因が物価に及ぼす影響をリアルタイムで把握することには難しさもあるとし、経済指標を丁寧に分析して物価の基調を見極めることが重要だという認識を示しました。

日銀の植田総裁は31日、日銀の金融研究所が開催した国内外の経済学者や中央銀行関係者などが参加する会議であいさつしました。

この中で植田総裁は、世界的なインフレの背景として、資源価格の上昇や労働供給不足、サプライチェーンの混乱などの供給要因に加え、拡張的な財政・金融政策などの影響も指摘されているとしたうえで、「いずれの要因も一定のタイムラグを伴って物価に作用していると考えられ、リアルタイムでの把握には困難さが伴う」と述べました。

そのうえで、「物価動向については、さまざまな指標を丁寧に分析し、基調を見極めていくことが非常に重要だ」と述べ、物価の上昇が安定的で持続的なものかどうか、多角的に見極める必要があるという認識を示しました。

一方、植田総裁は、長期的な低金利環境の時代に多くの中央銀行が実施した非伝統的な金融政策は需要喚起の面で一定の効果はあったとしながらも、そのメカニズムは現在も十分に解明されていないと指摘し、4月、日銀が実施を決めた1990年代後半以降の金融緩和策のレビューについて、「内外の知見も借りながら効果と副作用についてレビューを進めていく」と述べました。