南シナ海上空で米軍の偵察機に中国軍の戦闘機が攻撃的飛行

アメリカ軍は南シナ海の上空を飛行していた軍の偵察機に対して、中国軍の戦闘機が前を横切るなど「必要のない攻撃的な飛行を行った」と発表し、中国側に危険な行動を控えるよう求めました。

アメリカのインド太平洋軍の発表によりますと今月26日、アメリカ空軍の偵察機が南シナ海上空の国際空域で通常の活動を行っていたところ、中国軍の戦闘機が偵察機の前を横切ったということです。

これにより偵察機は中国軍機が発生させた乱気流の中を飛行することを余儀なくされたということで、インド太平洋軍は「中国軍機のパイロットが必要のない攻撃的な飛行を行った」と非難しました。

当時、偵察機の中から撮影したとする映像では、中国軍機とみられる戦闘機が右側から接近したあと前を横切り、偵察機が大きく揺れる様子がうつっています。

インド太平洋軍は声明で「インド太平洋地域のすべての国が国際法に従い、国際空域を安全に使うよう望む」として、中国側に危険な行動を控えるよう求めました。

アメリカ国防総省は米中両国が軍事面で偶発的に衝突するのを避けるため、国防当局どうしの対話が必要だとしていますが、6月2日からシンガポールで開かれる国際会議に合わせて模索していた、両国の国防相による会談を中国側が拒否するなど隔たりが埋まらない状況が続いています。

中国「米の挑発的で危険な行動が根本的な原因」

アメリカ軍の偵察機に対して中国軍の戦闘機が「攻撃的な飛行を行った」とアメリカ軍が発表したことについて、中国外務省の毛寧報道官は、31日の記者会見で「アメリカは長い間、頻繁に艦船や航空機を派遣して中国に対し偵察を行い、中国の主権と安全を著しく損なっている。こうした挑発的で危険な行動が海上での安全保障上の問題を引き起こしている根本的な原因だ」と述べ、反発しました。

そのうえで「アメリカは、危険で挑発的な行動を直ちにやめるべきだ。中国側は引き続き必要な措置をとり、みずからの主権と安全を断固として守る」と述べました。