米中国防相会談を打診も “中国側が拒否” 米国防総省

アメリカ国防総省は6月、シンガポールで開かれる国際会議に合わせて模索していた米中両国の国防相による会談について、中国側が拒否したと明らかにしました。

アメリカと中国はことし2月にアメリカ本土上空を飛行した中国の気球をアメリカ軍が撃墜して以降、対立が一段と深まっています。

アメリカ国防総省は軍事面での偶発的な衝突を回避するため、国防当局どうしの対話を中国側に求めてきました。

アメリカのオースティン国防長官と中国の李尚福国防相が6月2日から4日にかけてシンガポールで開かれる「アジア安全保障会議」にともに出席する予定で、アメリカ側がこの機会に会談を打診していました。

これについて、アメリカ国防総省のライダー報道官は29日、中国側が会談の提案を拒否したことを明らかにしました。

国防総省は中国側の拒否の理由を明らかにしていませんが、アメリカのメディア、ブルームバーグなどは李国防相が、ロシアからの兵器の調達に関わったとしてアメリカ政府から制裁を科されていることに反発していたと報じています。

ライダー報道官は「両国の間で競争が衝突に発展しないよう開かれた意思疎通を維持することが重要だ」と強調しましたが、国防分野での両国の隔たりが埋まらない状況が続いています。

中国外務省「アメリカは必要な雰囲気を作りだすべき」

中国外務省の毛寧報道官は5月30日の記者会見で「現在の両国の軍どうしの対話が困難に直面している原因をアメリカは分かっているはずだ」と述べるにとどめました。

そのうえで「アメリカは中国の主権、安全、そして利益に関する懸念を尊重して直ちに誤ったやり方を正し、誠意を見せるとともに両国の軍どうしの対話と意思疎通のために必要な雰囲気と条件を作りだすべきだ」と述べ、けん制しました。