将棋「叡王戦」藤井聡太六冠がタイトル防衛 3連覇果たす

将棋の八大タイトルの1つ、「叡王戦」五番勝負の第4局が岩手県で行われ、タイトルを持つ藤井聡太六冠(20)が挑戦者の菅井竜也八段(31)に勝って3勝1敗とし、今年度最初のタイトル防衛とともに「叡王戦」3連覇を果たしました。

「叡王戦」五番勝負は、ここまで藤井六冠が2勝1敗で、防衛まであと1勝に迫っていました。

第4局は28日、岩手県宮古市で菅井八段の先手で始まり、開始からおよそ2時間、同じ局面が4回繰り返される「千日手」となり、規定によって「指し直し」となりました。

このあと、先手後手を入れ替えた対局は激しい攻防が続いて互いの残り時間が10分を切った終盤、再び「千日手」が成立し、2度目の「指し直し」となりました。

そして、午後7時15分から始まった対局では、再び先手となった菅井八段が飛車を横に移動させて得意の「振り飛車」を見せると、藤井六冠は守りを固めながらチャンスをうかがいます。

その後、終盤にかけて藤井六冠が攻撃を繰り出して形勢を有利にし、菅井八段は粘りを見せますが午後9時8分に90手までで投了しました。

この結果、藤井六冠が3勝1敗で五番勝負を制し、保持する6つのタイトルの中で今年度最初の防衛を果たすとともに、「叡王戦」3連覇となりました。

一方、菅井八段は、5年ぶりのタイトル戦でしたが、タイトル奪取はなりませんでした。

藤井六冠は、並行して行われている「名人戦」でタイトル獲得まであと1勝としていて、今月31日と来月1日に長野県で行われる第5局に勝利すると、羽生善治九段(52)以来となる最年少での「七冠」となります。

藤井六冠「非常にきわどかったが 最後は抜け出せた」

「叡王戦」3連覇を果たした藤井聡太 六冠は対局のあと「全体を通して非常に大変な戦いだった。『指し直し』の3局目は途中からかなり激しい攻め合いになってこちらの攻め駒が少なくあまりうまくいっていないかと思った。そのあと端を攻めていく展開になって非常にきわどかったが最後は抜け出せた。苦しいシリーズだったので結果を出すことができてうれしい」と話していました。

菅井八段「藤井六冠は将棋にまっすぐだと感じた」

敗れた菅井竜也 八段は「数年ぶりのタイトル戦だったが結果は全然ついてこず残念な結果になってしまった。藤井六冠は将棋にまっすぐだということをすごく感じた」と話していました。

藤井六冠 記者会見「何とか結果を出せてすごくうれしく思う」

今年度最初のタイトル防衛と「叡王戦」3連覇を果たした藤井聡太 六冠は、午後10時半すぎ、会場の岩手県宮古市で記者会見しました。

この中で、28日の第4局で同じ局面を繰り返す「千日手」による「指し直し」が2度行われたことについて「1回目は序盤だったが、こちらは後手番でもあったので『千日手』になって先手で指し直すというのも自分としては妥当な判断かと思っていた。2回目は終盤にさしかかるところでミスが出て苦しくなってしまったので、こちらとしては御の字かなと思っていた」と振り返りました。

そのうえで「大変な将棋が続いたシリーズだったが、何とか結果を出すことができてすごくうれしく思っている。課題を感じたところも多くあったので、受け止めて改善していきたい。『名人戦』の第5局もすぐにあるので、できるかぎりいい状態で臨めればと思う」と話していました。