大相撲夏場所 千秋楽 優勝決めた照ノ富士が勝って場所を終える

大相撲夏場所は千秋楽です。
27日に優勝を決めた横綱 照ノ富士は大関 貴景勝に勝って14勝1敗で夏場所を終えました。

中入り後の勝敗です。

▽水戸龍に十両の東白龍は水戸龍が「はたき込み」。

▽朝乃山に剣翔は朝乃山が「寄り切り」。

▽北青鵬に輝は輝が「押し出し」。

▽一山本に宝富士は宝富士が「はたき込み」。

▽竜電に琴恵光は琴恵光が「寄り切り」で勝ち越しました。

▽千代翔馬に平戸海は平戸海が「外掛け」。

▽妙義龍に隆の勝は隆の勝が「押し倒し」。

▽北勝富士に碧山は碧山が「肩透かし」で勝ちました。

▽金峰山に大翔鵬は大翔鵬が「寄り切り」。

▽阿武咲に錦木は錦木が「寄り倒し」で勝ちました。

▽佐田の海に錦富士は佐田の海が「押し出し」。

▽翔猿に玉鷲は翔猿が「押し出し」で勝ち越しました。

玉鷲は負け越しです。

▽高安に琴勝峰は高安が「引き落とし」。

▽王鵬に翠富士は王鵬が「引き落とし」で勝ちました。

▽阿炎に宇良は阿炎が「突き出し」で勝ち越しました。

宇良は負け越しました。

▽正代に御嶽海は御嶽海が「押し出し」。

▽琴ノ若に明生は琴ノ若が「押し出し」で勝ち越しました。

照ノ富士に勝っている明生は初めて殊勲賞を受賞しました。

▽大栄翔に若元春は大栄翔が「突き倒し」で勝ちました。

若元春は初めて技能賞を受賞しました。

▽霧馬山に豊昇龍は豊昇龍が「下手投げ」。

霧馬山は3場所連続で技能賞を受賞しました。

▽横綱 照ノ富士に大関 貴景勝は照ノ富士が「押し出し」で勝って14勝1敗で夏場所を終えました。

照ノ富士「最後まで気を抜かず」

27日、8回目の優勝を決めた横綱 照ノ富士は28日、大関 貴景勝に勝って14勝1敗で今場所を終えました。

照ノ富士は「途中で優勝は決まったが、最後まで気を抜かず頑張っていこうと思った。優勝するのは難しいことなので、手術してから復帰できて本当にうれしい」と改めて喜びを語りました。

27日の関脇 霧馬山との対戦については「優勝がかかった一番だし、大関とやるつもりで気を引き締めてやった」と話していました。

そして、次に向けての目標を聞かれると「ふた桁優勝というのが自分の目標だが、次の場所に向けて自分の体と向き合ってやっていきたい」と意気込んでいました。

霧馬山が技能賞を受賞

夏場所の三賞選考委員会は28日、東京 両国の国技館で行われました。その結果、技能賞は大関昇進がかかる関脇 霧馬山と、新関脇 若元春が受賞しました。

このうち、霧馬山は14日目の27日、横綱 照ノ富士に敗れたもののここまで11勝3敗と好成績を残しています。霧馬山はさまざまな技が出ていたことや、相撲のうまさが評価されました。

また、ここまで10勝4敗の成績を残している若元春については、持ち味の左四つの相撲を評価する意見が出たということです。

霧馬山は3場所連続3回目、若元春は初めての受賞です。

殊勲賞は平幕の明生が初めて受賞しました。

今場所優勝を決めた横綱・照ノ富士をここまでただ1人破ったことが評価されました。

敢闘賞は受賞者がいませんでした。

技能賞 若元春「目標達成できてうれしい」

技能賞を受賞した関脇・若元春は初めての三賞となり、「技能賞は三賞の中で一番欲しいと思っていた。1つ自分の大きな目標を達成できてうれしい」と話していました。

また、先場所は小結で11勝、今場所は新関脇で10勝を挙げ、直近2場所の勝ち星を「21」とし次の名古屋場所は大関昇進がかかる場所となったことについて「いい相撲もちらほらあったが、まだ内容がついてきていない。きょうみたいな相撲を取っていたら上がれないと思うのでまたしっかり稽古して来場所に向けて力をしっかりつけたい」と話していました。

殊勲賞 明生「次の場所でも勝ち越せるように」

明生は初めて殊勲賞を受賞し「ありがたい。前半はいい相撲を取れたが、横綱に勝ったあとから悪い相撲が多かった。反省してしっかり稽古して次の名古屋場所でも勝ち越せるようにコツコツやっていきたい」と話していました。

次の名古屋場所 関脇3人の大関昇進がかかる場所に

日本相撲協会の審判部は豊昇龍、大栄翔、若元春の3人の関脇について、次の名古屋場所はいずれも大関昇進がかかる場所になるという見解を示しました。

大相撲では大関昇進について明確な基準はありませんが三役で臨んだ直近3場所の勝ち星の合計「33」が目安とされています。

夏場所の4人の関脇のうち、大関昇進を確実にした霧馬山以外の3人はいずれもふた桁10勝以上を挙げ、ここ2場所の勝ち星の合計を▼大栄翔が22勝、▼豊昇龍と若元春が21勝としました。

大関昇進の議論を預かる日本相撲協会の審判部の部長、佐渡ヶ嶽親方は「おれが先に上がるという気持ちで頑張ってほしい。来場所は楽しみだ」と述べ、3人ともに次の名古屋場所で大関昇進がかかるという見解を示しました。

力士の談話

大関経験者の朝乃山は幕内復帰の場所で12勝3敗の成績を残しましたが「幕内での最高が12勝なのでもう一、二番は勝ちたかった」と振り返りました。

そのうえで、目標にしている年内での三役復帰に向けて「来場所が勝負だ。上位陣に全く通用していない。テレビで見ても今の上位陣は非常に強い」と気を引き締めました。

琴恵光は2場所連続の勝ち越しを決め「最後は自分らしい相撲を取ろうと決めて土俵でうまくつながってよかった。先手を取って勝ちきる、来場所はそうしていく」と話していました。

9勝目を挙げた平戸海は、初めて三役と対戦した今場所を振り返り「幕内の土俵に慣れてきた。この地位で三役と当たって夢みたいだった」と話しました。

中日から8連勝とした錦木は「今場所は手応えがよかったが来場所は、この相撲が取れるか分からないので稽古を積みたい」と気を引き締めていました。

小結経験者の翔猿は千秋楽で勝ち越しを決め「7勝7敗はいやだ。勝ち越せてよかった」と振り返ったうえで「上位で定着できるようにしたい」と抱負を話しました。

阿炎は東の前頭筆頭で勝ち越しを決め「師匠にも気を引き締めろと言われて相撲のことだけを考えた。まだまだ課題があるので直していきたい」と述べました。

小結 琴ノ若も千秋楽で勝ち越しを決めて「思い切って自分の力を出し切る気持ちでできた。序盤も内容が悪くなく、我慢してやれることをやり続けられたことがよかった」と話しました。

関脇 大栄翔は三役で2場所連続のふた桁勝利となる10勝目を挙げ、来場所は大関昇進に挑むことになり「ふた桁勝利を狙う気持ちはあった。上がりたい気持ちがないと上がれないと思うので、気合いを入れて稽古をして来場所に向けて頑張りたい」と意気込みを話しました。

関脇 豊昇龍も11勝目を挙げて来場所に大関昇進がかかることになりましたが「来場所のことはまだ気にしない。今場所が終わったのでゆっくり休みたい」と話しました。

大相撲が新型コロナの感染拡大前の姿に戻りつつある

けがから復帰した横綱 照ノ富士の優勝で幕を閉じた夏場所は、大相撲が新型コロナの感染拡大前の姿に戻りつつあることを印象づける場所となりました。

夏場所は新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」に移行されたあとの、今月14日に初日を迎えました。

東京の国技館で開催される本場所としては、感染が拡大する直前の令和2年の初場所以降、およそ3年ぶりに観客制限を設けずに実施され、外国人観光客の姿が目立つなど、15日間すべてで「大入り」が出されました。

館内では手の消毒などの感染対策は引き続き行われているものの、ことし1月の初場所からは声を出しての応援が緩和されています。

人気力士の取組や熱のこもった対戦には大きな声援が寄せられ、力士たちからも「活気が戻ってきてうれしい」とか「歓声が力になる」などと、歓迎する声が聞かれました。

また、夏場所の前はほかの相撲部屋に赴いての「出稽古」が初日の直前まで行うことができるようになるなど、制限が緩和されて強化のための環境が大きく改善されました。

所属する部屋に関取衆が少ない幕内力士にとっては、実力者と鍛え合うまたとない機会でもあり、大関昇進を確実にした霧馬山や、2年ぶりに幕内力士として土俵に臨んだ朝乃山なども精力的に出稽古を行いました。

感染拡大前にも出稽古先として人気を集めていた時津風部屋には、横綱 照ノ富士をはじめ、関取衆14人が集まった日もあり、お互いの技術を高め合いました。

こうした状況について日本相撲協会の八角理事長は「チケットも完売してありがたいし、いい相撲もあってよかったのではないか。無観客など大変なところをずっと乗り切ってきた。力士たちは本当に頑張った」と話しました。

次の名古屋場所では新大関の誕生が確実になったことに加えて、新たに3人の関脇が大関昇進に挑むことになり、再び見どころが豊富な場所になります。

夏場所は大相撲界が感染拡大前の活気を取り戻すための重要な場所になったといえそうです。