米 債務上限引き上げ バイデン大統領と下院議長が原則合意

交渉が難航していたアメリカ政府の借金の上限、債務上限の引き上げをめぐってバイデン大統領は野党・共和党のマッカーシー下院議長と協議した結果、原則、合意したとの声明を発表しました。
アメリカ国債が債務不履行=デフォルトに陥るおそれがある期限が9日後に迫るなかでの妥結となりました。

アメリカ政府の債務上限の引き上げをめぐるバイデン政権と野党・共和党との交渉は、アメリカで3連休に入った27日も交渉担当者レベルで続けられました。

この問題についてアメリカのメディアはバイデン大統領が共和党のマッカーシー下院議長と27日午後6時から1時間半にわたって電話で協議を行ったと伝えました。

そしてホワイトハウスはバイデン大統領の声明を発表し、マッカーシー議長と原則、合意したことを明らかにしました。

声明でバイデン大統領は「アメリカ国民にとってよいニュースだ。破滅的なデフォルトや景気後退の回避につながる」としています。

一方、マッカーシー議長は記者団に対し「われわれには、まだ仕事が残っているが、アメリカ国民にふさわしい原則的な合意だと信じている」と述べました。

マッカーシー議長は上限引き上げに向けてこのあと法案を作成し、5月31日に議会下院で採決を行うとしています。

双方は合意の内容について明らかにしていませんが、ロイター通信は政府予算に2年間歳出の上限を設定して支出を抑える代わりに共和党側が同じ期間、債務上限の引き上げに応じる内容だと伝えています。

イエレン財務長官は6月5日に政府の資金が枯渇し、アメリカ国債が史上初めて債務不履行=デフォルトに陥るおそれがあると警告していましたが、期限が9日後に迫るなかでの妥結となりました。

今回の合意は2年間の期限つき

アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」などによりますと、今回の合意では2年間の期限をつけてバイデン政権側の要求に沿うかたちで債務上限を引き上げる一方で、歳出削減を求める共和党側の意向も踏まえ防衛費以外の支出について、2023年の会計年度と比べて2024年はほぼ同額に、2025年は1%程度の増額に抑えるとしています。

また、共和党が求めていた低所得者向けの食料支援の支給条件の厳格化が盛り込まれた一方で、民主党が反対していた低所得者向けの医療保険制度「メディケイド」の利用条件の厳格化は見送られたとしています。

さらにバイデン大統領が大型歳出の実現に向け大企業や富裕層への課税の強化を掲げ、これに共和党が反発するなか、日本の国税庁にあたるIRS=内国歳入庁の予算を削減することも含まれているとしています。

IRSの予算の増額は去年、バイデン政権が成立させた「インフレ抑制法」に盛り込まれていました。