ロシア ベラルーシに戦術核配備を表明 欧米側へ揺さぶり強める

ロシアのプーチン政権は同盟関係にある隣国ベラルーシに戦術核兵器を配備すると表明し、ベラルーシのルカシェンコ大統領が「移転が始まった」と発言するなど、欧米側への揺さぶりを強めています。

ウクライナ各地でロシアの攻撃が続き、ウクライナ空軍は26日、ロシア軍の巡航ミサイル10発のほか、イラン製の無人機23機などを迎撃したと発表しました。

一方、ウクライナ東部の激戦地バフムトをめぐり、多くの戦闘員を投入していたロシアの民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏は25日、SNSで「部隊を後方に移し始めた」として、撤退を表明しました。

プリゴジン氏はバフムトを掌握したと主張し、来月1日までに部隊の大部分を後方に移して、支配地域を正規軍に引き渡すとしていますが、ウクライナ側は26日も、戦闘は続いていると発表しています。

こうした中、ロシアは同盟関係にある隣国ベラルーシとの間で25日、ロシアの戦術核兵器をベラルーシ領内に配備する合意文書に署名したと発表しました。

プーチン大統領は戦術核兵器の保管施設をことし7月1日までに建設するとしています。

これについてモスクワを訪問していたベラルーシのルカシェンコ大統領は記者団に対し、プーチン大統領とも話し合ったとした上で「保管施設などを準備する。移転が始まった」と述べました。

一方で、すでにベラルーシに核兵器が到着したかどうかについては「可能性はある。これから戻って確認する」と述べ、明言を避けました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は25日「ベラルーシの安全保障領域をロシアのもとに従属させようとする取り組みだ」として、ロシアが軍事面でベラルーシへの影響力を強めていると指摘しました。

その上で、ベラルーシに戦術核兵器はまだ配備されていないと分析し、プーチン大統領が核の配備をちらつかせた情報戦を展開することで、欧米への揺さぶりを強める可能性があるという見方を示しています。