生活保護引き下げは違法 自治体の決定取り消す判決 千葉地裁

生活保護の支給額が引き下げられたのは不当だとして千葉県内の受給者が自治体を訴えた裁判で、千葉地方裁判所は引き下げを違法として取り消す判決を言い渡しました。

生活保護の支給額について国は当時の物価の下落などを反映させる形で平成25年から平成27年にかけて最大で10%引き下げました。

これについて千葉県内の受給者12人は「憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵害された」などとして、自治体が決定した支給額の引き下げの取り消しを求めていました。

26日の判決で千葉地方裁判所の内野俊夫裁判長は国が引き下げの根拠とした基準の一つについて「統計など客観的な数値との関連性や、専門的な知見との整合性を認めることができず、合理性を欠いていた」と指摘しました。

そのうえで「厚生労働大臣の判断には裁量権の逸脱と乱用があり、違法だ」として引き下げを取り消す判決を言い渡しました。

原告の弁護団によりますと、同様の訴えは全国29の裁判所で起こされ、これまでに出された19の地裁判決ではひき下げを違法とする判断が9件出ていましたが、4月、大阪高裁で訴えを退ける逆転判決が出されたことから千葉地裁の判断が注目されていました。

原告「全国でも取り消されること願う」

26日の判決について、原告の1人で県内に住む40代の女性は、「訴えが認められうれしいです。全国でも早く引き下げが取り消されることを願っています」と話していました。

厚生労働省「判決内容を精査し 今後の対応決定」

厚生労働省は、「判決の内容を精査し、関係省庁や被告の自治体と協議したうえで今後の対応を決定したい」とコメントしています。

千葉市「判決内容を精査し 今後の対応検討」

千葉市は「判決の内容を精査し、今後の対応を検討したい」としています。