台風2号は「スーパー台風」 米の気象機関 グアムで大規模停電

太平洋にあるグアム付近を台風2号が通過し、島内では一夜明けた25日も大規模な停電が続いているほか、観光客が足止めされるなど影響が広がっています。

台風2号は、アメリカの気象機関、JTWC=米軍合同台風警報センターが「スーパー台風」だと発表していて、24日夜から25日未明にかけて太平洋にあるアメリカ領、グアムの付近を通過しました。

現地では外出禁止令が出され、アメリカ国立気象局によりますと一時、風速30メートルを超える猛烈な風が吹き、1時間に50ミリを超える非常に激しい雨が降ったということです。

これまでのところ台風による人的な被害は報告されていませんが、住宅の浸水や建物の窓ガラスが割れるなどの被害のほか、電線が切れて、一夜明けた25日も全島で大規模な停電が続いています。

また、旅客便のキャンセルや遅延が相次ぎ、多くの観光客が足止めされるなど影響が広がっています。

グアム在住者「恐怖を感じ眠れなかった」

グアムでおよそ30年暮らし、現地でダイビングスクールの代表を務める中根豪さんは、NHKの電話取材に対し、現地では停電や断水が起きているとした上で「台風は遠ざかっているものの、引き続き風が非常に強い。ときおり横なぐりの雨も降っている」と話していました。

そして「強い雨と風で、自宅のマンションでは、窓の隙間から噴水のように水が噴き出してきた。家の中は水浸しで、床には1センチから2センチほど水がたまっている」と話していました。

また「乾季にこれほどの台風は初めてだと思う」とした上で「シャッターを激しく揺らす音がして壊れたらどうしようかと恐怖を感じた。きのうの夜はまったく眠れなかった」と話していました。

台風が去ったあとも海は荒れることから、ダイビングスクールでは、観光客の予約をキャンセルせざるを得ず、中根さんは「新型コロナのあとにグアムを訪れる日本人観光客が少ないなか、それでも来てもらう人たちに心苦しい。経営にも響いてくる」と話していました。

自宅浸水 水をくみ出す作業8時間

グアムで観光客向けのツアー会社を営むパク・ケリーさんはNHKの取材に対し、現地では24日夜から風と雨が強まったと当時の状況を話しました。

島の中部にあるパクさんの自宅も浸水したため、水を家の外にくみ出す作業を8時間にわたって行ったということです。

また、強風で▼パクさんの自宅のフェンスや庭の木がなぎ倒されたほか、▼工事現場の木材が飛んできて、駐車場に止めてあった車の窓ガラスに突き刺さったということです。

パクさんは、「ただ雨が降るのではなく、浴びせるように降り注いだ。タオルや服を使って家に入ってきた水を休む間もなくくみ出した。これまで43年間グアムに住んでいるが、こんなにひどかったのは初めてだ」と話していました。パクさんが経営するツアー会社は現在、すべてのツアーをキャンセルし、観光客の多くはホテルで待機しているということです。

日本総領事館「いまのところ日本人の被害情報なし」

グアムにある日本総領事館によりますと、グアムには去年10月の時点でおよそ3100人の日本人が在留届けを出しているということです。

今のところ現地の警察や旅行会社などからは日本人の被害の情報は入っていないということです。

月曜日ごろから沖縄に接近か 最新情報に注意を

気象庁によりますと、台風2号は急速に発達していて、25日午後、猛烈な勢力となりました。

午後6時には日本のはるか南のマリアナ諸島を1時間に15キロの速さで西北西へ進んでいて、中心の気圧は910ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は55メートル、最大瞬間風速は80メートルで、中心から半径130キロ以内では風速25メートル以上の暴風が吹いています。

この台風についてアメリカのJTWC=米軍合同台風警報センターの解析では、最大風速が60メートルを超え、「スーパー台風」だと発表しています。

気象庁の予想では、台風2号はこのあとフィリピンの東の海上を西へ進み、しだいに、やや北寄りに進路を変える見込みです。今月29日の月曜日ごろから沖縄地方に近づく可能性があり、沿岸は大しけとなるおそれがあります。

また、来週は前線が本州付近に停滞する見込みで、台風の進路によっては、湿った空気が流れ込んで雨などの影響が出るおそれもあります。

気象庁は、最新の情報に注意するよう呼びかけています。台風のメカニズムに詳しい名古屋大学の坪木和久教授は、今後の進路については予想に幅があるとしたうえで、「この時期としては極めて強い勢力なので沖縄地方は厳重な準備と対応が必要だ。来週には進路を変えて本州に接近する可能性もあり、仮に接近しない場合でも多量の水蒸気が持ち込まれるので、西日本などでも大雨に注意が必要だ」と話しています。