世界一過酷な400m 限界に挑む 札幌

“世界一過酷な400メートル走”と呼ばれるレースが、20日、札幌で開催されました。ランナーたちは、とてもユニークなコースを走り、己の限界に挑みました。

舞台はジャンプ競技場

レースが行われたのは、札幌市中央区の大倉山ジャンプ競技場です。

ジャンプ台の一番下から頂上まで、400メートルの距離を駆け上がり、タイムを競います。
18歳から71歳までの脚力自慢、およそ1400人が参加し、ジャンプ台を四つんばいになりながら登っていました。

2011年から世界各地で開催され、日本では今回が6回目です。

最高齢は71歳 「目標は優勝」

今大会の最高齢は、71歳の田中三英さんです。

ふだんからランニングで足腰を鍛えているという田中さんは「目標は優勝です」と意気込んで、予選に臨みました。

スタートから軽快に飛ばす田中さんに、最大斜度37度の急勾配が待ち受けます。
徐々にペースが落ち、終盤は一歩を踏み出すのに10秒近くかかることもありました。
結果は10分48秒と、トップのタイムから7分以上遅れて、倒れ込むようにゴールしました。
田中さんは「もう二度と参加したくないと思いました。でも、このきつさはこのレースでしか味わえません」とやり遂げた表情で話していました。

プロトレイルランナー「ことしこそは優勝」

決勝に臨む参加者の中に、人一倍、闘志を燃やす男性がいました。

反中祐介さんです。

山道などを駆け抜けるプロのトレイルランナーでこの日のためにトレーニングを重ねてきました。

これまで2位が最高順位の反中さんは「第2回からすべて参加しています。周りには優勝したら卒業すると話していて、ことしこそは優勝したい」と話します。

東京五輪マラソン代表も参戦

30人で争う男子の決勝は前回の優勝者など精鋭ぞろいで、東京オリンピック男子マラソンの代表、服部勇馬さんの姿もありました。
決勝の序盤は服部さんがトップでしたが、中盤、赤い帽子の反中さんが力を見せ、服部さんを一気に抜き去りました。
しかし、残り100メートル地点、足がいうことをききません。
結果は4分14秒、トップと39秒差の3位でフィニッシュしました。
反中さんは「めちゃくちゃ悔しいです。来年もまた出ると思います。やっぱり優勝を常に意識していきたい」と目標の優勝に向け早くも来年を見据えていました。

東京オリンピック男子マラソンの代表、服部さんは7位でした。

ゴールでは息も絶え絶えの参加者たちですが、口をそろえて、「ゴールした達成感は登り切った人にしか分からない。きついけどなぜか翌年も出てしまう魅力がある」と語っていました。