ホンダ 自動車レース「F1」復帰へ 2026年のシーズンから

ホンダは、自動車レースの最高峰「F1」に2026年のシーズンから復帰することを明らかにしました。
ホンダは、おととしに撤退していましたが、新たにレーシングチームの「アストンマーティン」にエンジンなどを供給する契約を結ぶことで合意しました。

発表によりますと、ホンダは2026年のシーズンからF1に参戦し、エンジンとモーターを組み合わせたパワーユニットをアストンマーティンに供給する契約を結ぶことで合意したということです。

チーム名は「アストンマーティン・アラムコ・ホンダ」となります。

ホンダは、1964年に日本の自動車メーカーとして初めてF1に参戦し、1980年代後半から90年代前半にかけて「マクラーレン」などにエンジンを供給して黄金時代を築いた歴史があります。
2015年に参戦したあとは、本業での脱炭素に向けて経営資源を集中するとして2021年に撤退していました。

ホンダは、2040年に、世界で販売する新車のすべてをEV=電気自動車やFCV=燃料電池車にする方針を示しています。

復帰の理由について、会社は2026年からの新たなレギュレーションで、脱炭素につながる「合成燃料」の全面使用や、電気エネルギーの比率を高めてエンジンとモーターの出力を同等にすることが決まり、脱炭素を進める会社の方針と合致したためとしています。

ホンダ 三部敏宏社長「技術やノウハウは電動車の競争力に直結」

ホンダの三部敏宏社長は記者会見で「ホンダは世界のレースに挑戦し、勝利することで成長してきた企業で、参戦の意義は技術と人を育てることだ。われわれが掲げる脱炭素の目標に向けて、レースから得られる技術やノウハウは、これからの電動車の量産の競争力に直結する」と述べました。

アストンマーティン・チーム会長「心から楽しみにしている」

会見でアストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ・ワン・チームのローレンス・ストロール会長は「ホンダはモータースポーツ界の巨人で、特にF1においてはすばらしい成績を収めてきた。2社が一緒になり、ホンダのパワーユニットを通じて大きな成果を収めることを心から楽しみにしている」と述べました。

ホンダ・レーシング 渡辺康治社長「頑張って良い結果残したい」

ホンダ・レーシングの渡辺康治社長がNHKのインタビューに応じました。

この中で、渡辺社長は、F1に復帰した理由について、「ひと言で言うと、F1がカーボンニュートラルに向かい、それがわれわれと一致したということだ。新しいレギュレーションが車の電動技術の研究に非常に役立ち、内燃機関でも、新しい燃料とのマッチングというところで開発者としてやりたいところがあった」と述べました。

また、渡辺社長は、主力市場としている北米の若い世代で、F1の人気が高まっていることも、復帰を決める判断に影響したとしています。

そして、ホンダが、F1への参戦と撤退を繰り返していることについては「過去にファンの方々を非常にがっかりさせてしまったこともあり、本当に反省している。今後は、継続的に活動できるようノウハウを蓄積し、続けられる体制を構築していきたい」と述べました。

そのうえで、渡辺社長は、海外の自動車メーカーが相次いでF1への参戦を表明していることを踏まえ「今までより強豪の数がどんどん増えていて、競争は激化する。本当に歯を食いしばって、頑張って良い結果を残したい」と意気込みを語りました

F1界も「脱炭素」へのシフト 鮮明に

ホンダが再びF1に参戦するのは、F1界の脱炭素へのシフトが鮮明になっていることが背景にあります。

脱炭素社会とは逆行するイメージもあるモータースポーツですが、現在のF1は、排気量を少なくした小型のエンジンとモーターを組み合わせたパワーユニットを採用し、環境対応を意識したレギュレーションをすでに導入しています。

さらに、2026年からの新たなレギュレーションでは、脱炭素につながる「合成燃料」の全面使用や、電気エネルギーの比率を高めてエンジンとモーターの出力を同等にすることが決まりました。

F1を統括するFIA=国際自動車連盟は、2030年にモータースポーツ競技で二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする目標を掲げています。

2026年からの新たなレギュレーションの決定を受けて、ホンダのほか自動車メーカー各社の参戦表明が相次いでいます。

フォードは2004年にF1から撤退していましたが、2026年のシーズンからレッドブルとのチームでF1に復帰することを表明しています。

また、アウディは初めてF1に参戦することを表明しました。

さらに、GM=ゼネラル・モーターズはキャデラックブランドでの参戦を目指すことを表明しています。