カンヌ映画祭 北野武監督6年ぶりの新作上映に観客から喝采

世界3大映画祭の一つ、フランスのカンヌ映画祭で北野武監督の6年ぶりの新作が上映され、観客から大きな喝采が送られました。

北野監督の6年ぶりの新作「首」は、受賞を競うコンペティション部門とは別に、ときの話題作を集めた「カンヌ・プレミア」部門で上映されました。

本能寺の変を独自の解釈で映画化したもので、戦国武将や百姓など、さまざまな人物の野望や裏切りを描いています。

北野監督が原作から脚本、編集、そして豊臣秀吉の役も務めています。

23日の上映会の前には、北野監督が主演の明智光秀を演じた西島秀俊さんや織田信長を演じた加瀬亮さんらと一緒にレッドカーペットに登場しました。

上映会では、劇場入りした北野監督を観客たちが総立ちとなり拍手で迎えていました。

30代のフランス人女性は「予想した時代劇とは全く違った。単純な善と悪の勧善懲悪でないところがおもしろかった」と話していました。

また、北野作品のファンだという20代の男性は「スケールの大きさと迫力があった。登場人物の人格設定に北野監督ならではのおもしろさを感じた」と話していました。

ことしのカンヌ映画祭には、コンペティション部門に是枝監督の新作「怪物」がノミネートされているほか、役所広司さんが主演を務めた、ドイツのヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」がノミネートされ、審査の結果は日本時間の28日に発表される予定です。

北野監督「日本のお客さんにも」

上映会のあと、報道陣の取材に応じた北野監督は上映後、観客から総立ちで拍手と喝采を受けたことについて「カンヌのお客さんには楽しんで見ていただけたので日本のお客さんにも楽しんでもらいたい。意外なところで受けていたのがおもしろかった」と話していました。

また、今回の観客の反応を受けて「次は完全なお笑いをやってみたい」とも話していました。

世界最大級の商談や交流の機会も

世界3大映画祭の一つ、フランスのカンヌ映画祭は、映画業界の関係者にとっては世界最大級の商談や交流の機会ともなっています。

映画祭の会場には、巨大な商談スペースが設けられ、およそ120か国から300以上の映画会社などが出展しています。

最新の映画を世界に向けてPRしたり、売買の契約につなげたりするのがねらいです。また、構想中の次の作品や映画産業への投資を広く呼びかける機会でもあり、世界の映画業界の関係者が一堂に会し情報交換を行っています。

会場では映画祭とは別に、プロのバイヤーたちのための映画の上映も頻繁に行われていて、この期間、およそ1200回にのぼるということです。

カンヌ映画祭に毎年参加しているというスイスの映画プロデューサーは「世界でどんな映画が作られているのかを知り、どんな映画が人気なのかをつかむために、カンヌは逃すことができない大事なチャンスなのです」と話していました。