神戸児童連続殺傷事件26年 事件記録廃棄に父親が再発防止訴え

1997年に神戸市で起きた児童連続殺傷事件で、小学6年生の男の子が当時14歳の少年に殺害されてから24日で26年です。
この事件をめぐっては、去年、事件記録が裁判所で廃棄されていたことが明らかになり、男の子の父親は、「遺族の事件記録を閲覧したいという思いをないがしろにするような行為は絶対に許されるようなことではない」と訴えています。

1997年に神戸市須磨区で起きた児童連続殺傷事件では、小学6年生の土師淳くん(当時11)が当時14歳の少年に殺害されました。

事件から26年になるのに合わせて、淳くんの父親の土師守さん(67)が報道各社に手記を寄せ、「何年たとうとも、亡くなった子どもへの私たちの思いは変わることはありません」とつづりました。

加害者の元少年からの手紙は、6年前を最後に途絶え、ことしも届いていないと明かしたうえで、土師さんは「なぜ次男の命が奪われなければいけなかったのかという問いを、私たちは以前から発し続けています。加害男性は、私たちの問いに答える義務があると思いますし、答えて欲しいと思っています」としています。

また、この事件をめぐっては去年10月、事件記録が裁判所で廃棄されていたことが明らかになり、その後、各地の裁判所でも少年事件や民事裁判の記録が相次いで廃棄されていたことが分かりました。

この問題について、土師さんは「遺族の事件記録を閲覧したいという思いをないがしろにするような行為は絶対に許されるようなことではないと思います。なぜこのようなことが起こったかということをきちんと調査し、それに対する対策を施したうえで、確実な記録保存の手順を確立することが重要だと思います」としています。

一連の問題を受けて最高裁判所は廃棄の経緯などを調査していて、近く報告書を公表し、再発防止策を講じることにしています。

土師守さんの手記【全文】

土師守さんは、事件から26年となるのに合わせ、心境をつづった手記を報道各社に寄せました。その内容です。

「ことしの5月24日は、私たちの次男の26回目の命日になります。
何年たとうとも、亡くなった子どもへの私たちの思いは変わることはありません。
加害男性からの手紙は、今年も届いていません。
なぜ、私たちの次男の命が奪われなければいけなかったのかという問いを、私たちは以前から発し続けています。
加害男性は、私たちの問いに答える義務があると思いますし、答えて欲しいと思っています。
昨年10月に神戸児童連続殺傷事件の事件記録が廃棄されていたことが明らかになりました。
重要事件の事件記録は永久保存にするという最高裁の内規があるにもかかわらず、内規を考慮することもなく廃棄するという行為は、通常の組織ではありえないことです。
遺族の事件記録を閲覧したいという思いをないがしろにするような行為は、絶対に許されるようなことではないと思います。
なぜこのようなことが起こったかということをきちんと調査し、それに対する対策を施したうえで、確実な記録保存の手順を確立することが重要だと思います。
兵庫県では、犯罪被害者支援条例の制定については、他府県に遅れをとっていましたが、斎藤知事が就任されてから条例制定の話が進み、昨年7月から犯罪被害者等支援条例検討委員会が開催され、ことし3月16日に県議会で可決され、3月22日に公布されました。
条例の制定は遅れましたが、非常に優れた内容になっており、全国で初めて、被害者の権利保護をうたった条例です。
兵庫県民のセイフティネットの一つとして重要な柱になるものと思います。
昨年3月に、『新あすの会』が立ち遅れている犯罪被害者への経済補償の改善を求めて活動を開始しました。
上川陽子元法務大臣をはじめとする犯罪被害者等保護・支援体制の一層の推進を図るPTが提言案をまとめ、先月の4月13日に司法制度調査会に提出の運びとなりました。
今後の経過を慎重に見極めていく必要がありますが、犯罪被害者への経済補償の大幅な改善策がまとまることを期待しているところです。
今後も、犯罪被害者を取り巻く環境が改善され、一般の方々の理解が進んでいくことを願っています。
令和5年5月24日 土師 守」