G7広島サミット閉幕 経済安全保障の強化など実効性が課題に

21日に閉幕したG7広島サミットでは、ウクライナ侵攻や米中対立が続くなか、経済安全保障の強化やデジタル分野のルールづくりなどにG7として結束して取り組む姿勢を打ち出しました。

今後はその実効性が問われることになります。

ウクライナのゼレンスキー大統領のほか、インドや韓国など招待国の首脳らも出席して行われたG7広島サミットは首脳宣言を発表し、3日間の日程を終えました。

経済分野では経済安全保障について、ウクライナ侵攻をきっかけにぜい弱性が浮き彫りとなった重要鉱物や半導体などのサプライチェーン=供給網を新興国や途上国とも協力して強化することで一致しました。

また、中国を念頭に禁輸などの措置で他国の政策や意思決定に影響を与えようとするいわゆる「経済的威圧」に対抗するため、 G7として被害を受けた国々を支援する「調整プラットフォーム」を立ち上げることで一致しました。

さらにデジタル分野では、ChatGPTなど生成AIの急速な普及を受けて、「広島AIプロセス」として信頼できるAIの普及に向けて閣僚級で議論し、年内に報告をまとめることで一致しました。

一方、気候・エネルギーの分野では、石炭火力発電の廃止時期の明示や、電気自動車の導入の数値目標を設定するよう求める欧米諸国と、慎重な立場の日本との間で調整が続きました。

しかし、ウクライナ侵攻や中国が影響力を拡大させるなか、G7の結束などを優先させようという思惑もあり、サミット直前に開かれた閣僚会合の内容を引き継ぐ形で決着しました。

議長国の日本としては、「グローバル・サウス」とも呼ばれる新興国や途上国とも連携して経済分野の課題に結束して取り組む姿勢を強く打ち出せたと評価していますが、今後はその実効性が問われることになります。