【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(22日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる22日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア ウクライナへのF16戦闘機供与をけん制「無益で無意味」

G7広島サミットの機会に、アメリカのバイデン政権はウクライナが求めているF16戦闘機をめぐり、アメリカとしてヨーロッパの同盟国が供与を決断した場合、容認する立場などを示しました。

これについてロシアのリャプコフ外務次官は22日、国営のロシア通信に対し「完全に無益で無意味だ。ロシア軍の能力は特別軍事作戦の目標を確実に達成できるものだ。ウクライナに兵器が供与されても、西側諸国が求める結果にはつながらない」と述べけん制しました。

また、ワシントンに駐在するロシアのアントノフ大使はSNSで「アメリカはロシアの戦略的な敗北だけを望んでいる。ウクライナにはF16を使用するためのインフラ施設がない。NATO=北大西洋条約機構の飛行場からアメリカの戦闘機が出発したらどうなることになるだろうか」などと投稿し、F16の供与に向けた動きを強くけん制しています。

ザポリージャ原発 ロシアの砲撃で外部からの電力供給一時途絶

ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は22日、ロシア軍が占拠するザポリージャ原子力発電所についてSNSで「ロシアによる砲撃で発電所へ電力を供給する最後の送電線が遮断された」と発表しました。

原子炉の冷却などに必要な外部からの電力供給が失われたのはロシア軍に占拠されてから7度目だとしています。

非常用の発電機を稼働させ原発に必要な電力は供給されているとしていますが「発電機の燃料は10日分しかない」として外部からの電力供給が回復できなければ重大な事故につながると危機感を示しました。

これについてIAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は22日、ツイッターで「原発の安全性は極めてぜい弱な状況にある。いますぐ原発を守ることで合意しなければならない」と投稿しました。

その後、ウクライナ国営の電力会社「ウクルエネルゴ」はSNSで「外部電力の供給が復旧した」と発表しました。

ヨーロッパ最大規模のザポリージャ原発をめぐってはIAEAが原発の安全に向け、ロシア、ウクライナ双方と協議を重ねていますが、砲撃によって外部からの電力供給が途絶えるなどの事態が相次ぎ懸念が続いています。

ウクライナ軍 “ベルジャンシクのロシア軍司令部を破壊”と発表

ウクライナ軍は21日、南部ザポリージャ州でロシア側が掌握し、アゾフ海に面した港湾都市ベルジャンシクにあるロシア軍の司令部を攻撃し、破壊したと発表しました。

ベルジャンシクは戦闘の最前線からおよそ100キロ離れた場所にあり、ロシア側は、イギリスが供与した、射程が250キロ以上と長い高精度の巡航ミサイル「ストームシャドー」が攻撃に使われたと主張していて、ウクライナ側の大規模な反転攻勢の動きにも関心が集まっています。

アメリカ「戦争研究所」 バフムトの戦況を分析

バフムトの戦況についてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は21日、「ワグネルの部隊がバフムトの西部を確保した可能性が高い一方で、ウクライナ軍は引き続き郊外での反撃を優先している」として、ロシア側がバフムトの大半を掌握したとする一方、郊外でウクライナ軍の反撃が続いていると分析しました。

そして「ロシア軍は他の地域での作戦を犠牲にし、バフムトの側面を維持するため追加の部隊が必要となるだろう。ワグネルの部隊は消耗していて今後も戦闘を続ける可能性は低い」と指摘しました。

バフムトでは今後も攻防が続き、ロシア側は引き続き兵力を投入する必要があるとの見方を示した形です。

ゼレンスキー大統領の記帳内容を公表

ウクライナのゼレンスキー大統領が、21日、広島市の原爆資料館を訪問した際に「芳名録」に記帳した内容が公表されました。

それによりますと「資料館の訪問に深く感銘を受けた。世界中のどの国も、このような苦痛と破壊を経験することがあってはいけない。現代の世界に核による脅しの居場所はない」と記しています。

ロシアのプーチン大統領が核戦力の使用も辞さない構えを見せる中、被爆地・広島で核の脅しに屈しない姿勢を示しています。

ゼレンスキー大統領「世界はわれわれの立場に耳を傾けている」

ウクライナ大統領府は21日、G7広島サミットを終えたゼレンスキー大統領の新たな動画を公開しました。

この中で「世界はわれわれの立場に耳を傾けている。領土の奪還などウクライナにとってすべての重要な点で世界の多数派と理解し合えた」と述べ、一連の外交の成果を強調しました。

そして、G7でウクライナ情勢が主要なテーマの1つになったとして「G7のウクライナへの敬意は特別なものだ」と述べ謝意を示しました。

G7広島サミット ウクライナ市民は歓迎や今後の軍事支援に期待

ウクライナのゼレンスキー大統領がG7広島サミットに対面で参加したことについて、首都キーウの市民からは21日、歓迎する声や今後の軍事支援に期待する声が相次ぎました。

このうち、30代の男性は「ゼレンスキー大統領が世界を飛び回ってくれてうれしいです。ウクライナには支援が必要で大統領はそれを各国に伝えてくれています」と話していました。

また、アメリカが同盟国などとともにウクライナの兵士へのF16戦闘機の訓練を開始するなど新たな軍事支援を表明したことについては、「長い間、待っていました。F16戦闘機ならキーウに飛んでくるミサイルを撃ち落とし、防空能力を高めてくれます」と歓迎していました。

20代の女性は「サミットはウクライナで何が起きたのかを伝えるすばらしい機会だと思います」と話し大統領の対面でのサミット参加を評価していました。

子連れの30代の女性は、F16戦闘機について「本当にすばらしい。私たちには保護が必要ですし、領土を取り戻す必要があります」と歓迎したうえで今月に入ってロシア軍による攻撃が増えていることに触れ戦闘機の供与が早期に実現することに期待を示していました。

バフムトでロシアとウクライナの主張に食い違い 引き続き焦点

ウクライナ東部の激戦地バフムトをめぐりロシア側が完全に掌握したと発表したのに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアに占領されていない」とこれを否定しました。双方の主張が食い違い、バフムトの戦況の行方が引き続き焦点となっています。
ウクライナ陸軍のシルスキー司令官は21日、みずからのSNSにバフムト近郊の前線を訪れ兵士を激励した動画を投稿し「ウクライナ軍の反撃は続いている」としてバフムト近郊で攻勢をかけていることを強調しました。

バフムトをめぐっては、ロシア側に多くの戦闘員を送り込んでいるワグネルの代表、プリゴジン氏が今月25日以降に部隊を撤退させる意向を示しています。

双方の主張が食い違う中、戦況の行方が引き続き焦点となっています。

ゼレンスキー大統領「勝利を近づけるための外交の忙しい1日」

ウクライナのゼレンスキー大統領は日本時間の21日夜遅く、SNSに「ウクライナに勝利を近づけるための外交の忙しい1日」とコメントを投稿し、G7広島サミットに対面で参加したことの成果を強調しました。

また、21日夜はカナダのトルドー首相、インドネシアのジョコ大統領、韓国のユン・ソンニョル大統領、アメリカのバイデン大統領、それに岸田総理大臣と個別に会談したとして、各国の首脳と抱き合ったり、固く握手したりする様子をうつした動画も投稿しました。

ウクライナ情勢をテーマにしたセッションに参加したことや広島の原爆資料館を訪れたことにも触れサミットに招待してくれた岸田総理大臣への感謝のことばを述べています。