各国首脳はG7広島サミットをどう見た?首脳の発言まとめ

3日間にわたって行われたG7広島サミットは21日午後、議長をつとめた岸田総理大臣が記者会見をして閉幕しました。

閉幕後、各国首脳はそれぞれ記者会見などを行って、サミットの成果や感想などについて発言しました。

広島サミットについて参加した各国首脳はどう見ているのか。
まとめました。

イギリス スナク首相「平和公園で心を動かされた」

G7広島サミットに参加していたイギリスのスナク首相は21日、広島市内で記者会見しました。

【力強いメッセージを発信】
この中で、ウクライナのゼレンスキー大統領がサミットを訪問したことについて「G7と同盟国の連帯と決意について、力強いメッセージを発信するものだった。ウクライナは戦争に勝つだけでなく、永く続く平和を勝ち取らなければならない」と述べました。

その上で、イギリスからウクライナへのさらなる軍事支援を約束するとともに、アメリカが同盟国によるF16戦闘機の供与を容認したことを「大きな前進だ」と評価しました。

【広島ほど平和を話し合うのにふさわしい場所はない】
また「広島ほど、平和の重要性を話し合うのにふさわしい場所はない。平和公園では心を深く動かされた。ひしゃげた三輪車や破れた血まみれの学生服などを心に刻み、この地で起きたことを決して忘れない」と強調し「G7のリーダーたちが平和、自由、そして民主主義への思いを新たにした、歴史的なサミットだった」と総括しました。

そして「岸田総理大臣と日本の人々は、今回のサミットが、G7によるウクライナ支援の連帯を示す場となっただけでなく、いわゆる『グローバル・サウス』の国々も招待するなど、大きな成功に終わったことを誇りに思うべきだ」とたたえました。

【お好み焼きを作るのは楽しかった】
最後にスナク首相は「個人的には、東京とも大阪とも異なる広島のお好み焼きを作るのは楽しかったし、おいしかった。とても温かいおもてなしをありがとう」と、日本への感謝を口にしました。

フランス マクロン大統領 「結束の会議」

フランスのマクロン大統領は21日午前、広島で「今回のG7はウクライナ支援における結束の会議であり、われわれは強く一致した。日本はこの戦争が、ヨーロッパだけでなく世界の安全保障を守るための戦争であることを示す、鍵となる役割を示した」と述べ、議長国・日本の役割を評価しました。

そして「ウクライナは、インドやインドネシア、ブラジルなど、これまで交流が少なかった国に直接状況を話すことで、国際社会全体に、国連憲章や国の主権、それに領土保全への支持が不可欠だと思い出させるだろう」と指摘しました。

【フランス政府の航空機提供「フランスの名誉」】
その上でゼレンスキー大統領の移動にフランス政府の航空機を提供したことについて「フランスは和平を構築し、解決策を模索する。ゼレンスキー大統領のG7での演説を可能にし、演説を聞く機会の少ない国々の前で演説する機会を作ったことは、フランスの名誉であり、外交大国としての役割だ」と述べました。

ドイツ ショルツ首相 「広島で議論することは正しい」

ドイツのショルツ首相は21日記者団に対して「ロシアによるウクライナへのひどい攻撃が今も続くなか、広島のような象徴的な場所で平和と安全について具体的に議論していることは正しい」と述べました。

そして「ウクライナの大統領がここにいることは非常に重要だ。G7諸国と集中的に協議しているだけでなく、招待されたグローバルサウスの国々ともまったく新しい集中的な協議が行われている」と述べました。

カナダ トルドー首相「核の脅威を真剣に受け止め」

カナダのトルドー首相はG7広島サミットの閉幕後、記者会見を行いました。

【ウクライナ さらに多くのことできないか検討】
この中でトルドー首相はウクライナのゼレンスキー大統領との会談で最新の情勢について説明があったとした上で「ウクライナの主権を保障するため、各国に対して引き続き働きかけを行っていくことがいかに重要であるか意見を交わした」と述べました。

さらに、アメリカが同盟国によるF16戦闘機の供与を容認したことについては「カナダはすでにウクライナ軍と幅広い訓練を行っていて、さらに多くのことができないか常に検討している」と述べました。

【核の脅威は真剣に受け止めなければ】
また、原爆資料館を訪れたことに関連して「ロシアによるウクライナ侵攻や日常的な北朝鮮による核の脅威などは真剣に受け止めなければならない。各国にとって『核兵器のない世界』の実現だけでなく、争いなどをなくすことを改めて約束する機会になった」と述べました。

アメリカ バイデン大統領「核戦争の悲惨な現実を認識」

アメリカのバイデン大統領はG7広島サミットの閉幕後、記者会見しました。

【ウクライナ 我々の決意を再確認した】
この中でバイデン大統領は「ここ広島でゼレンスキー大統領とともにG7はロシアの残忍な侵略戦争と戦争犯罪から身を守るウクライナの勇敢な人々とともにいるというわれわれの揺るぎない決意を再確認した」と述べました。その上でウクライナの自衛の能力を強化するため、同盟国などとともにウクライナ兵へのF16戦闘機の訓練を開始すると強調しました。

【中国 関係改善に期待感】
またG7としての中国への対応についてバイデン大統領は「われわれは中国との関係を断ち切ろうとは考えていない。リスクの回避と多様化を目指している」と述べ、サプライチェーンの多様化を目指し、経済的威圧行為に対抗していく考えを示しました。一方で、中国との外交関係については「雪どけは近く起きるだろう」と述べて関係改善に向けて期待感を示しました。

【原爆資料館を訪れ核戦争の現実を認識】
また、広島市の原爆資料館を訪れたことについては「核戦争の悲惨な現実と平和を築くための努力を決してやめないという私たちの共通の責任を強く認識させるものだった。G7のリーダーたちとともに、核兵器の脅威のない世界を目指して努力を続けるという決意を改めて確認した」と述べました。

ウクライナ ゼレンスキー大統領「バフムトも必ず再建」

ウクライナのゼレンスキー大統領は21日午後7時半前から会見を行いました。

【広島を見てバフムトも必ず再建と決意】
このなかでゼレンスキー大統領は「侵略者たちは、人々を支配下におくだけでなく、ウクライナ人を存在させないようにしている」と述べ軍事侵攻を続けているロシアを改めて非難しました。

そして「ウクライナのバフムトで起きている破壊とかつての広島の写真の風景が似ている。バフムトはすべての建物や道路が壊された状態だ。広島を見て、生きている街だと感じた。バフムトも将来、必ず再建できると思う」と述べ東部の激戦地バフムトも含めて将来的にウクライナの復興を成し遂げる決意を示しました。

【街なかにウクライナの国旗が見えた】
またゼレンスキー大統領は「日本の街なかにウクライナの国旗が見えるが、これはウクライナの国民に対する信頼や支持の表れだ」と述べ謝意を示しました。

そのうえで「ウクライナが提案する和平に向けた10項目は将来の侵略国を止める手段となる」と述べロシア軍の撤退や領土の保全などを盛り込んだウクライナ側の和平提案が有効だと訴えました。

イタリア メローニ首相「慰霊碑に献花 重要だった」

国内で発生した洪水による被害に対応するため、G7広島サミットの最終日に、当初の予定を切り上げて帰国したイタリアのメローニ首相は21日、SNSに「広島で開催されたサミットは、非常に密度が濃いものだった」と投稿し、評価しました。

そのうえで「広島の平和公園で原爆慰霊碑に献花し、原爆の犠牲者に敬意を払うことができたことが重要だった」と振り返っています。

そしてサミットの議長を務めた岸田総理大臣に感謝の意を示したうえで「来年はイタリアが議長国だ。イタリアにとって大きな責任が伴うが、その任を全うするつもりだ」と来年のサミットの開催国としての意気込みを記しています。