ミャンマー サイクロン1週間 国連機関は本格的な支援できず

ミャンマーで甚大な被害を出した大型のサイクロンの上陸から21日で1週間となりましたが、被災地では復旧のめどは立っていません。国連機関は実権を握る軍などからの許可が出ていないため、現地での本格的な支援ができず、早急な対応を求めています。

今月14日に大型のサイクロンが上陸したミャンマー西部のラカイン州では、軍が弾圧を続けるイスラム教徒の少数派のロヒンギャの人たちなどに甚大な被害が出ていて、軍と対立する民主派勢力の組織「国民統一政府」は、これまでに435人が死亡し、犠牲者は今後さらに増える見通しを示しています。

上陸から1週間となる中、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所ミャンマー事務所の高木典子代表は20日、最大都市ヤンゴンでNHKのインタビューに応じました。

現在の支援状況について高木代表は「支援は少しずつしているものの、現地に行って被害状況などを調査することができず、被害にあったすべての人への支援はまだ始めることができていない」と説明しました。

今月16日には首都ネピドーで、実権を握る軍側と会談し、一刻も早く支援ができるよう、被災地に入る許可を求めたということですが、これまでのところめどは立っていないということです。

その上で高木代表は「サイクロンが来る前に支援物資の備蓄を進めたので、配る準備はできている。支援が遅れるにしたがって、被災者の生活がさらに悪化していく。一刻も早く現地に入りたい」と述べて、人道的な危機を回避するため、早急な対応を求めています。

男性「生後7か月の息子が流された」

ミャンマーの西部ラカイン州のブ・メイ村では、今月14日のサイクロンによる強風や高波によって家屋が倒壊するなどの甚大な被害が出ています。

NHKが入手した現地の映像からは、この村に暮らすイスラム教徒の少数派ロヒンギャの人々の子どもたちが、倒れたヤシの木の実からココナッツジュースや果肉を集め、食料の足しにしている様子がわかります。

生後7か月の息子を亡くした男性は「家を出てみると水かさが増していて、数歩進もうとしたところ子どもを背負っていたひもがほどけ、子どもが流されてしまった。翌朝7時くらいに子どもを見つけたとの知らせを受けた」と話し、避難できなかったことを悔やんでいました。

男性は「村にある井戸にがれきが入り込んでしまい、飲み水がない。私たちには何も残されていない」と、支援を求めました。