【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア オバマ元大統領などの入国禁止を発表

ロシア外務省は19日、アメリカのバイデン政権による制裁に対する報復措置として、オバマ元大統領を含む500人のアメリカ国民のロシアへの入国を禁止すると声明で発表しました。

声明によりますと、オバマ氏のほか、上下両院の議員、「反ロシア政策や虚偽情報の拡散に関わっている」とする研究者、それにウクライナに兵器を供与している企業の幹部などを対象にしたとしています。

ロシアはこれまでもバイデン大統領を含め多くのアメリカ国民に対して入国禁止の措置をとっていて、アメリカへのけん制を繰り返しています。

また、ロシア外務省は同じ声明の中で、ことし3月にスパイ活動を行っていたとしてロシア国内で逮捕されたアメリカの有力紙のゲルシュコビッチ記者について、モスクワのアメリカ大使館が求めている面会を重ねて拒否し、アメリカとの対立をいっそう深めています。

ロシア ICC主任検察官を指名手配 逮捕状への対抗措置か

ICCはことし3月、ロシアが、ウクライナの占領地域から子どもたちをロシア側に移送したことをめぐり、国際法上の戦争犯罪の疑いでプーチン大統領など2人に逮捕状を出しました。

これに対し、ロシアで重大事件を扱う連邦捜査委員会は「違法な手続きだ」として、カーン主任検察官や赤根智子裁判官などあわせて4人に対して刑事手続きを開始したと発表していました。

今回、新たにカーン主任検察官を指名手配したと明らかにすることで、ICCへの対抗措置を強めるねらいとみられます。

ロシア次官 “F16は緊張を加速”

ウクライナへのF16戦闘機の供与をめぐってロシア外務省のグルシコ次官は20日、国営のタス通信に対して「緊張を加速させる動きだ。西側諸国はこのシナリオに沿って進んでいる」と非難しました。

その上で「彼らにとって大きなリスクを伴うものだ。われわれには目標を達成するために必要な手段がそろっている」と述べ、対抗する姿勢を強調しました。

ゼレンスキー大統領 インド モディ首相と会談

インド政府は、モディ首相が20日に広島を訪れているウクライナのゼレンスキー大統領と会談を行ったと2枚の写真とともに公式のツイッターに投稿しました。

写真には両首脳が握手を交わす様子とテーブルを挟んで意見を交わす様子が写っています。

ただ、これまでのところ会談の具体的な内容は明らかにされていません。

両首脳が対面で会談を行うのは去年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、これが初めてです。

ゼレンスキー大統領 広島市内でスピーチ行う方向で調整

在ウクライナの外交筋によりますと、広島を訪問しているウクライナのゼレンスキー大統領は、21日夕方、原爆資料館の視察や岸田総理大臣との会談を終えたあと、広島市内でスピーチを行う方向で調整が進められていることがわかりました。

スピーチは、広島市内にある国際会議場で行われるということです。

スピーチで、ゼレンスキー大統領は、日本の国民に対し、ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナに対する支援への感謝を表明する方向で調整を進めているということです。

ロシア軍 部隊を増強し巻き返しか

ウクライナ軍の参謀本部は20日、ロシア軍がミサイルや無人機などで東部ドニプロペトロウシク州や南部ザポリージャ州、それにヘルソン州などを攻撃し、市民に死者やけが人が出ていると発表しました。

一方、東部ドネツク州の激戦地バフムトについて、ウクライナのマリャル国防次官は19日「敵は質で勝てないので量で勝ろうと兵力を数千人増やしている」と発表し、ウクライナ軍の反撃のペースが遅くなっていると警戒感を示しました。

またイギリス国防省は20日「ロシア軍はこの4日間にバフムト方面の兵力を強化するために複数の部隊を再び配備した可能性が高い」と指摘しました。

そして「ロシアの指導部は、この紛争である程度の成功をおさめたと主張するために、バフムトを奪取することを当面の重要目標とみているようだ」と述べ、ウクライナ軍の反撃に対し、ロシア軍は部隊を増強し、巻き返しをはかろうとしているとみられます。

ゼレンスキー大統領 伊・仏・英首脳と相次いで会談

G7広島サミットに参加するため20日に来日したゼレンスキー大統領は、午後5時50分ごろから、イタリアのメローニ首相と会談しました。

続いて、フランスのマクロン大統領、そしてイギリスのスナク首相と相次いで会談を行いました。

これまでのところ詳しい内容は明らかにされていませんが、ウクライナへの一層の軍事支援などに向けて、意見を交換しているものとみられます。

キーウ周辺に防空警報 ロシア無人機による大規模攻撃か

ウクライナでは今月に入ってロシアによる各地への集中的な攻撃が繰り返され、20日未明には、首都キーウ周辺に防空警報が出されました。

現地の当局によりますと、ロシアの無人機による大規模な攻撃があり、無人機は撃墜したとしています。

キーウのクリチコ市長は「破片が落下してきて、9階建ての建物で火災が起きている」とSNSに投稿しました。

現地の当局によりますと、その後、火災は鎮火されけが人はいなかったということですが、あわせて4つの地区で建物や車、住宅の窓が破損するなどの被害が確認されたということです。

ゼレンスキー大統領 広島空港に到着

警察によりますと、ウクライナのゼレンスキー大統領は、20日午後3時半ごろ、G7サミットに参加するため広島空港に到着しました。

広島空港には午後3時半ごろ、ゼレンスキー大統領が乗った飛行機が着陸しました。

そして駐機場へ移動したあとタラップが設置され、赤いじゅうたんが敷かれました。

まもなくして飛行機のドアが開くと緑色の服を着たゼレンスキー大統領が1人でタラップを降り、出迎えた政府の関係者らとあいさつして車に乗り込みました。

ゼレンスキー大統領は、到着した直後、自身のツイッターに「日本。G7。ウクライナのパートナー、そして友人たちとの重要な会議だ。私たちの勝利のため、一層の協力と、安全を。きょう、平和はさらに近づくだろう」と投稿しました。

ゼレンスキー大統領 日本に向かう

外交筋によりますと、ウクライナのゼレンスキー大統領は、アラブ連盟の首脳会議に出席するため訪れていたサウジアラビアのジッダの空港を、日本時間の20日未明、フランス政府の航空機で出発し、日本に向かっているということです。

ゼレンスキー大統領は日本時間の20日午後、広島空港に到着する見通しです。

到着後、岸田総理大臣と個別の会談を行う方向で調整が進められているほか、21日に予定されているG7広島サミットのウクライナ情勢などの討議に参加するということです。

ゼレンスキー大統領はこれまでもヨーロッパ各国などの訪問の際には、外国政府の航空機をたびたび使用してきました。

ゼレンスキー大統領 広島でバイデン大統領と会談へ

ウクライナのイエルマク大統領府長官は19日、公共放送のインタビューに電話で応じ、ゼレンスキー大統領がG7広島サミットに出席し、アメリカのバイデン大統領と会談すると明らかにしました。

その上で、ウクライナが供与を求めているF16戦闘機以外にも「多くの問題を詳細に議論する」と述べました。

イエルマク大統領府長官はゼレンスキー大統領と一緒にサウジアラビアを訪れていたことから、日本にも同行するとみられます。

ロシアの集中的な攻撃 ウクライナ反転攻勢への警戒強化か

ウクライナ空軍は19日、ロシア軍が巡航ミサイル6発と22機の無人機で攻撃を仕掛けたと発表しました。このうち3発のミサイルと16機の無人機を迎撃したということですが、一連の攻撃によってゼレンスキー大統領の出身地でもある東部のクリビーリフでは2人が重軽傷を負ったと地元当局がSNSで明らかにしました。

ロシアは18日も各地でミサイルや無人機による攻撃を仕掛けるなど、今月に入って異例ともいえる頻度で集中的な攻撃を繰り返しています。

これについてウクライナ国防省情報総局の幹部は19日、地元メディアに対して、ロシアは冬の間に仕掛けた電力インフラへの攻撃に失敗した今、ウクライナ側の反転攻勢に向けた準備を妨害しようと、標的を軍事施設や弾薬庫などに切り替えているという見方を示しました。

こうした中、ロシア国防省は19日、ショイグ国防相が、ウクライナ南部ザポリージャ州の支配地域にある前線の司令部を視察したと発表しました。ショイグ国防相は現地の司令官に対してウクライナ軍の計画を事前に察知しその実行を阻止するため偵察活動を強化するよう指示したということで、領土の奪還を目指すウクライナの反転攻勢への警戒を強めていることがうかがえます。

米 ロシア追加制裁を発表

アメリカのバイデン政権はG7広島サミットにあわせて、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアへの締めつけを強化するため、300を超える個人や団体に対する追加制裁を発表しました。

具体的には、制裁の対象となる個人や団体は20以上の国などにまたがり、国務省が200以上、財務省が126にのぼるということです。

財務省は声明で「ロシアが軍事侵攻を続ける能力を弱めるためだ」としていて、ロシアによる制裁逃れの阻止を目的にエネルギーや金融部門などを対象としてアメリカ国内の資産を凍結するとしています。

“ゼレンスキー大統領 ジッダの国際空港出発” サウジ政府

サウジアラビア政府は19日、西部ジッダを訪れていたウクライナのゼレンスキー大統領がジッダの国際空港を出発したと発表しました。

ゼレンスキー大統領は20日にも来日し、21日のG7広島サミットの討議に参加する見通しですが、サウジアラビア政府は行き先について明らかにしていません。

ゼレンスキー大統領は19日にジッダで開かれたアラブ連盟の首脳会議に出席していました。

ゼレンスキー大統領「アメリカの歴史的な決定を歓迎」

バイデン大統領がF16戦闘機を使ったウクライナ軍のパイロットに対する訓練の実施を支援するとG7の首脳に伝えたとメディアが報じる中、ウクライナのゼレンスキー大統領は、19日、ツイッターに「国際的な戦闘機の連合を支援するというアメリカの歴史的な決定を歓迎する。これにより、われわれの軍の能力が大幅に強化される」と書き込みました。

その上で、「G7広島サミットでこの決定を実行するための取り組みについて議論することを期待する」として、ウクライナへのさらなる軍事支援に向けた協議が進むことに期待感を示しました。

“バイデン大統領 F16訓練支援を伝える” 米メディア

アメリカのメディア、ブルームバーグは19日、G7広島サミットでバイデン大統領が各国の首脳に対してF16戦闘機を使ったウクライナ軍のパイロットに対する訓練の実施を支援すると伝えたと報じました。

バイデン政権高官の話として伝えたもので、訓練は数週間以内に始まり、ウクライナ以外のヨーロッパで行われるとしています。

F16戦闘機 ウクライナ供与 米 欧州同盟国が決めた場合 容認へ

G7広島サミットに出席しているアメリカのバイデン大統領に同行しているホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は19日、広島でNHKのインタビューに応じました。

この中で、カービー氏は、ウクライナがロシアへの反転攻勢に必要だとして求めているアメリカで開発されたF16戦闘機について「ヨーロッパの同盟国や友好国が何らかの機会を模索していることは把握している」と述べました。

その上で「われわれは、すべての決断を尊重する」と述べ、NATO=北大西洋条約機構の加盟国がF16戦闘機をウクライナに供与することを決めた場合、容認する考えを示しました。

F16戦闘機をめぐっては、ウクライナのゼレンスキー大統領が来日してG7広島サミットに対面で参加する際、アメリカをはじめとするNATO加盟国に強く供与を求めるものと見られていて、アメリカがどのような立場を示すのか注目されていました。

ヨーロッパの中ではイギリスとオランダが調達の支援に前向きな姿勢を示していますが、アメリカはこれまで、自国が供与することはないという姿勢を重ねて示しています。

ゼレンスキー大統領 ロシアと協力関係維持のアラブ諸国に苦言

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、サウジアラビアの西部ジッダで開かれたアラブ連盟の首脳会議に出席しました。

ゼレンスキー大統領が中東を訪問するのはロシアによる軍事侵攻が始まって以来、初めてです。

演説のなかで、ゼレンスキー大統領は「残念ながらこの場も含め、世界にはロシアの違法な併合に目をつぶっている国もある」と述べ、ロシアによる軍事侵攻のあともロシアと協力関係を維持しているアラブ諸国に苦言を呈しました。

その上で「ロシアがいかに影響力を及ぼそうとも、皆さんには正直な目を向けてほしい」などと述べて、アラブ諸国に対し、ロシアに厳しい姿勢で臨むよう求めました。

アラブ諸国をめぐっては、OPECプラスでロシアと関係が深いサウジアラビアをはじめ多くの国が、ウクライナ侵攻のあともエネルギー分野などでロシアとの協力関係を維持していて、ゼレンスキー大統領としては、アラブ諸国にくぎを刺した形です。

そのうえで、ロシア軍の撤退など、ウクライナが和平に向けて掲げる10の項目に対する支持を呼びかけました。

日本政府 ロシアに追加制裁科す方針固める

木原官房副長官は、G7広島サミットの初日のセッションでウクライナに関する首脳声明が発表されたのに合わせ、日本政府として、ロシアに対し追加の制裁を科す方針を固めたことを明らかにしました。

具体的には、新たに制裁の回避や、う回に関与したロシアの関係者など、およそ100の個人や団体を資産凍結の対象に追加します。

また、日本からの輸出を禁止する団体に、およそ80のロシアの軍事関連団体などを追加するほか、ロシア向けのサービスの提供を禁止する分野に建築とエンジニアリングを新たに加えることにしています。