奈良公園のシカ “コロナで「おじぎ」減” 研究グループ調査

奈良公園周辺のシカは、鹿せんべいをもらう際の「おじぎ」のような行動で知られていますが、研究グループが調査した結果、新型コロナウイルスの感染拡大前と後では「おじぎ」の回数が減っていることがわかりました。

奈良女子大学と北海道大学の研究グループでは、2015年から継続してシカの調査を行っています。

それによりますと、鹿せんべいをもらう際の「おじぎ」のような行動は、2017年1月までの5か月間では、調査員が1頭のシカに鹿せんべいを見せている間に平均で10.2回行ったのに対し、新型コロナウイルスの感染が拡大したあとの2021年6月までの1年間では、6.4回と4割近く減少したということです。

また、奈良公園に一定の時間内に現れるシカの数は感染拡大前は平均で167頭だったのに対し、拡大後は65頭まで減っていたということです。

研究グループは、観光客が減少してシカが公園に来なくなり、せんべいをもらう機会も大幅に減ったため『おじぎ行動』に影響が出たのではないかと分析しています。
奈良女子大学の遊佐陽一教授は「『おじぎ行動』は、人との関わり合いの中で身につけたもので、接触が減ると回数も減ると考えていたが、これほどすぐに変化があらわれ驚いた」としたうえで「人への依存度が高い奈良のシカならではの結果で、今後、訪れる人が増えれば、おじぎの回数も増えるのではないかと思う」と話していました。