サイクロン被害のミャンマー 軍は食料支援強調も人道危機懸念

大型のサイクロンが上陸したミャンマーでは、西部ラカイン州で甚大な被害が出ていて、実権を握る軍は被災者へ食料支援などを行っていると強調していますが、イスラム教徒の少数派が住む地域には物資が届いていないとみられ、人道的な危機が懸念されています。

ミャンマーでは、大型のサイクロンが今月14日、西部に上陸し、暴風や高波によって家屋が倒壊するなどの甚大な被害が出ています。

国営新聞は17日までに国内11の州と管区でおよそ4万5000棟の家が破壊されたと伝えていて、このうち西部ラカイン州では軍が米や飲料水などを支援したとしています。

一方、軍と対立する民主派勢力の組織「国民統一政府」は、イスラム教徒の少数派、ロヒンギャの人たちなど435人が死亡し、犠牲者は今後さらに増える見通しを示しています。

NHKが入手したロヒンギャの人たちが暮らすラカイン州のブ・メイ村で17日に撮影された映像からは、壊れた家屋がそのままの状態で残され、人々は、がれきの中から集めてきた材木などで仮設のテントを建てていました。

村に住む男性は「食料は3日から5日で底をついてしまう。私たちには何も残っておらず、財産もすべて失った。村には軍も国際機関も来ておらず、途方に暮れている」と話していました。

軍は弾圧を続けているロヒンギャの人たちの地域には支援を行っていないとみられ、国連の機関も現地に入ることができていないことから、人道的な危機が懸念されています。