英 スナク首相 “核不拡散やウクライナへの支援継続 確認を”

G7広島サミットに出席するため日本を訪れているイギリスのスナク首相がNHKの単独インタビューに応じ、19日からのサミットを通じて、各国との間で核不拡散やウクライナへの支援を継続する方針を確認する考えを示すとともに、日本について価値観を共有する国として、関係をさらに強化する重要性を強調しました。

スナク首相は18日、都内でNHKの単独インタビューに応じました。

この中で19日から始まるG7広島サミットについて、「広島と平和記念公園を訪れ、歴史の教訓から学ぶのは非常に特別なことだと感じている。核戦争の恐怖を思い出させるとともに、私たちが信じる核不拡散の将来に向けた指針となる」と述べて、被爆地・広島で開催される意義を強調しました。

そして、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアが、核による脅しを繰り返していることについて、「われわれが全く受け入れられないことをしかねない国と対じしていることを改めて思い知らされた。今回のサミットのテーマの1つは、ウクライナがロシアを撃退できるよう、G7の国々が断固たる支援の継続で結束することだ」と述べました。

またイギリスは今月、これまでで最も射程の長い巡航ミサイル「ストームシャドー」をウクライナに供与するなど、アメリカに次ぐ規模の軍事支援を行っていることをあげ、「ウクライナが軍事作戦を成功させるのに特に必要なのは防空能力、長い射程の武器、そして戦車だ。今後数週間、あるいは数か月以内にさらなる支援を打ち出す。ロシアに、この違法で一方的な戦争を続けてもむだだと分からせるため、われわれは支援を続ける」と述べ、ウクライナへの支援を継続し、ロシアの撤退につなげる考えを示しました。

さらに、「われわれはすでに、将来的にロシアによる侵攻に対し、ウクライナが抑止力として機能するような、長期的な安全保障についての合意についても検討している」と述べ、今回のサミットで話し合う方針であることを明らかにしました。

また、イギリスがインド太平洋地域を「外交政策の恒久的な柱」と位置づけ重視していることについて、スナク首相は、「中国は世界の秩序を作りかえる能力と欲求を持っている国で、重大な挑戦となっている。日本とイギリスは、力による一方的な現状変更を認めず、自由で開かれたインド太平洋地域を目指している点で完全に一致している」と述べました。
そのうえで、日本との関係について「安全保障だけでなく、公正なルールに基づいた地球規模の貿易や、イノベーションを土台とする経済など、両国は非常に似た価値観を持っている。日本の人たちにはイギリスのことを近いパートナー、同盟国、そして何よりも友人として見てほしい」と呼びかけ、関係をさらに強化する重要性を強調しました。

“日本企業 イギリス国内で約3兆円規模の投資を計画”

スナク首相は、日本企業がイギリス国内で、クリーンエネルギーの分野などに3兆円規模の投資を計画していることを経済界の会合で明らかにしました。

スナク首相は18日、東京都内で開かれた日本とイギリスの経済界の会合に出席しました。このなかで日本企業がイギリス国内であわせて177億ポンド、日本円でおよそ3兆円規模の投資を計画していると説明しました。

イギリスの首相官邸によりますと大手商社の丸紅が、洋上風力発電といったクリーンエネルギー事業などに今後10年間でパートナー企業とともに100億ポンド程度を投資する覚書をイギリス政府と交わすことにしているということです。

また、大手商社の住友商事は洋上風力発電事業に対してほかの企業と共同で40億ポンドを投資する計画です。

また、不動産大手の三菱地所と三井不動産がおよそ35億ポンドを投資してロンドンに住宅やオフィス、生命科学の研究施設を建設することにしています。

スナク首相は日本からの大規模な投資計画を歓迎するとともに「イギリスはヨーロッパでTPP=環太平洋パートナーシップ協定に参加する唯一の国で、これは大きなチャンスだ」と述べて、日本との連携を深める考えを強調しました。