東京都 5類移行後初の新型コロナ「定点把握」 感染状況は?

東京都は、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行して初めて、定点把握による感染者数を発表し、今月14日までの1週間で1医療機関あたりでは2.40人でした。

前の週に比べて1.7倍になっていて、専門家は「緩やかな感染拡大傾向にあるが大型連休の影響もあるため今後の動向に注意が必要だ」としています。

5類移行後は定点把握に

新型コロナの感染者数は、これまでは毎日、医療機関などから全数が報告されていましたが、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行したのに伴って、一部の医療機関が1週間分を報告する定点把握に変わりました。

これを受けて都は18日、今月8日から14日までの感染状況や専門家が分析するモニタリング結果について、公表しました。

それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、414か所から報告があった感染者数の合計は994人で、1医療機関あたりでは2.40人でした。

都は、感染の推移を分析するため、全数を把握していた去年10月から今月7日までの各週についても、定点把握で集計し直していて、それによると、前の週は1.41人で、今週は1.7倍になっています。

モニタリング項目は限定

新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行し、感染動向や医療提供体制への負荷を分析するモニタリング項目は新規感染者数、発熱相談件数、入院患者数、それにゲノム解析による変異株の監視などに限定されます。

このうち、新規感染者数については、医療機関などがすべての感染者数を報告する「全数把握」から、季節性インフルエンザと同じ都内419の医療機関が報告する「定点把握」へ変更されました。
都は、全数を把握していた去年10月から今月7日までの各週についても、定点把握で集計し直していて、これまでと同じように、前の週やそれ以前の数値と比べて感染の推移を分析するほか、専門家が見解を示します。

一方、PCR検査などの陽性率や重症患者数、それに感染状況と医療提供体制の4段階の警戒レベル分けは項目からなくなりました。

都は18日から9月まで、毎週木曜日にホームページで分析結果を公表し、9月以降については感染状況や専門家の意見を踏まえながら検討することにしています。

今回の定点把握の結果について、専門家は「緩やかな感染拡大傾向にあるが大型連休の影響もあるため今後の動向に注意が必要だ」としています。

都内のクリニックでは

東京都内のクリニックの中には、新型コロナウイルスの陽性になる患者の数が、大型連休の前と比べて増加しているところもあります。

東京・新宿区のクリニックの発熱外来では、新型コロナの陽性となる患者が、大型連休前の先月は1日1人から2人ほどだったのに対し、大型連休明けの今月は1日3人から5人ほどの日が多く、およそ2倍に増えています。

ワクチン接種済みの高齢者が陽性になるケースも

一方、発熱外来を訪れる患者の数は、1日15人ほどと大型連休の前後で変わっていないということです。

これまでの傾向では新型コロナの陽性となる患者が増える際は発熱外来の患者も増えていたということで、クリニックの医師は、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行したあと、症状があっても受診しない人が増えている懸念もあるとしています。

また、ワクチンを接種済みの高齢者が陽性になるケースが以前より目立つようになっているということです。
「落合駅前クリニック」の安藤策郎院長は、「マスクの着用が自己判断になったり、会食やコンサートなど人が集まる機会が増えたりしたことで陽性患者が増加したと考えられる。『定点把握』になり、人々の新型コロナに対する意識が薄れていることもあるかもしれない」と話していました。

その上で、「感染症の分類が変わってもウイルスの性質が変わるわけではないのでこれまで失われてきた人との交流などを楽しみながら引き続き基本的な感染対策をとることが大切だ」と呼びかけていました。