英トラス前首相 台湾訪問 ヨーロッパ各国関与強める重要性強調

中国への強硬な姿勢で知られるイギリスのトラス前首相が台湾を訪問し、講演でヨーロッパ各国が台湾への関与を強める重要性を強調しました。

トラス前首相は、イギリスの首相経験者としては1996年のサッチャー氏以来27年ぶりに台湾を訪れています。

トラス氏は中国への強硬な姿勢で知られ、17日、台北市内で開かれたシンクタンクの会合で講演し、中国の脅威が一層高まっているとしたうえで、「ここは自由をめぐる戦いの最前線であり、台湾の未来は、この島とこの部屋にいる人たちだけでなく世界にとって重要なことだ」と述べました。

そして、「ロシアによるウクライナ侵攻と支配の強化が太平洋地域での自由や民主主義を脅かすのと同様に、台湾に対する封鎖や侵攻はヨーロッパでの自由や民主主義を損なわせるだろう」と述べ、ヨーロッパ各国は台湾への関与を強めるべきだと訴えました。

また、台湾のTPP=環太平洋パートナーシップ協定の加盟推進や、台湾の防衛力強化に向けて経済と安全保障の両面で連携を強める重要性を強調しました。

トラス氏は20日まで台湾に滞在し蔡英文総統とも会う予定で、滞在中の言動が中国との間で波紋を広げる可能性も指摘されています。

中国「政治的私欲満たそうとしているにすぎない」

イギリスのトラス前首相が台湾を訪問したことについて、中国外務省の汪文斌報道官は17日の記者会見で「イギリスの過去の政治家が台湾問題を持ち出して存在感を誇示しようとしているが、政治的な私欲を満たそうとしているにすぎない」と反発しました。

そのうえで「台湾の民進党当局が人々の税金を使ってイギリス史上最も短命だった首相のご機嫌取りをするのは、決して台湾を愛する行為ではない。こうした外部勢力と結託して独立を図ろうと挑発するたくらみは必ずや失敗に終わるだろう」と述べ、台湾の蔡英文政権をけん制しました。