G7 広島サミットまで2日 警備強化 交通規制など影響は?

G7広島サミットが、19日から3日間の日程で開かれるのにあわせ、アメリカのバイデン大統領をはじめ、各国首脳の来日が18日から本格化します。

広島市内では大規模な交通規制が行われるほか、東京都内では、警戒レベルが17日から引き上げられました。

広島市内のスーパーでは、食料品をまとめ買いする人たちの姿が見られました。

広島市内で18日から大規模交通規制

G7広島サミットの開催に伴って18日から22日までの5日間、首脳らが移動する時間を中心に高速道路や広島市内の一般道路で交通規制が行われます。

市内では警備の準備が進められていました。

中心部を発着する路線バスや路面電車の運行本数が減ります。
広島市の中心部を発着する多くの路線バスは平日でも日曜・祝日ダイヤにしたり、一部の路線を運休にしたりすることにしています。
広島電鉄の路面電車も土曜・休日ダイヤとなるほか、広電西広島と広島港を結ぶ3号線は、日中を中心に計画運休を行いますが、交通規制に伴って大幅な遅れが出る見込みで、予告なく運休したり、行き先を変更したりする可能性もあるということです。

まとめ買いする人の姿も

規制を前にメイン会場のホテルの近くにある広島市南区宇品西のスーパーでは肉や魚、牛乳など食料品をまとめ買いする人の姿が見られました。
地元の60代の男性は「規制中は品物が十分店に入ってこないかもしれないと思って、普段の1.5倍くらい買い物をしました」と話していました。

また食べ盛りの子ども2人を持つ40代の女性は、先週末に冷凍食品などをまとめ買いした上で、きょう再び買い物に訪れたということで「規制中は車で動きにくくなるので、きょうは比較的、日持ちするパンなどを多めに買いました」と話していました。
この店では規制に備えて、きょうまでの3日間、生鮮食料品などの仕入れる量を通常よりも2割増やしたということです。

また交通規制が行われるあすからの5日間は、商品の入荷をいつもより1時間半前倒しして早朝に行い、通常通りの時間で営業するということです。

スーパーの松本茂紀マネージャーは「交通規制の期間中もしっかり商品をそろえていきたい」と話していました。

宮島 18日から立ち入り制限

宮島には各国の首脳や配偶者などが訪れる予定で、これに伴って18日正午から立ち入りが制限され、20日の午後2時まで、「識別証」を持つ住民などを除いて原則として島に入ることができなくなる予定です。

このため、島の土産物店では18日から3日間、休業することにしていて、きょうは店内のキーホルダーやしゃもじなどの土産物を片付ける作業を行っていました。
土産物店を経営する正木文雄社長は、「今回の休業は3日間だけなのでコロナで3年半、我慢したことを思うと十分耐えられます。広島から平和を発信し、意義のあるサミットになればいいと思います」と話していました。

ホテル 2日間休業に

また、島にあるホテルの中には18日と19日の2日間、休業するところもあります。

このうち、24室あるホテルでは、従業員がチェックインする客に対し、18日午後から休業することを改めて知らせていました。

このホテルでは休業する2日間は、予約で部屋がすべて埋まっていましたが、2か月ほど前から宿泊のキャンセルを伝えるために電話やメールで連絡を取り、1週間ほど前にようやくすべての客に連絡ができたということです。
このホテルの松本浩志専務は、「観光客の多いこの時期に休業せざるをえないことは正直厳しいですが、長い目で見ると宮島により多くの人に来てもらうことにつながると考えているので、島を上げてサミットの開催に協力できたらという思いです」と話していました。

海上保安庁 過去最高レベルの態勢で警備

海上保安庁は100隻近い巡視船艇に加え、大型の無人航空機を派遣し、過去最高レベルの態勢で警備にあたることにしています。

海上保安庁によりますと、G7広島サミットに派遣する全国の巡視船艇などは100隻近くになる見込みです。

さらに去年導入された、地上から操縦を行う大型の無人航空機「シーガーディアン」を活用し、会場の広島市南区の宇品島にある「グランドプリンスホテル広島」周辺の上空で不審な船の警戒に24時間態勢で当たっているということです。
海上保安庁では、ホテル周辺のおよそ300メートルの海域を「航行自粛海域」とし、15日から22日まで、この海域に立ち入らないよう漁業者や旅客船の事業者に呼びかけています。

また、広島港の周辺については、事前通報が必要な海域に設定し、通報せずに航行した場合には、立ち入り検査を行うほか、海中や港などに不審物が持ち込まれないよう海上保安官が港の関連施設を巡回するなど、警備態勢を強化しています。
海上保安庁の石井昌平長官は定例の記者会見で「海上での移動も予定されていて、海上警備が重要になる。サミット行事が滞りなく実施されるよう、警察などの関係機関と緊密に連携し、海上警備に万全を期す」と述べました。

東京都内の警戒レベル 17日から引き上げ

一方、警視庁は、都内の警戒レベルを17日から引き上げ、外国の大使館や総理大臣官邸、国会などの重要施設で警戒を強化しています。
このうち、東京・港区のアメリカ大使館では、通常よりも多くの機動隊員が配置され、付近の道路で不審な人物がいないかパトロールなどを行っていました。

G7広島サミットでは、東京を経由して広島に向かう首脳もいることから、警視庁は、空の玄関口となる羽田空港でも警戒を強化しています。
また、多くの人が利用する大規模な駅や繁華街など「ソフトターゲット」と呼ばれる場所でもテロのおそれが高まるとして、警察署に勤務する警察官を機動隊員として招集し、態勢を拡充して警備にあたっています。

サミットの議論に期待する人も ウクライナから避難の女性は?

広島サミットの主要な議題の一つが、ウクライナ情勢です。

G7広島サミットではウクライナ情勢のセッションが初日に行われ、ゼレンスキー大統領もオンラインで参加する予定です。

ウクライナから日本に避難した2400人あまりのうちシェウチェンコ・オレナさん(44)は、去年3月、首都キーウから当時13歳の息子を連れて、東京に避難してきました。

侵攻が始まった翌日、ロシア軍に包囲された街で母親を心臓発作で亡くしていて、これ以上、大切な存在を失いたくないと避難生活を始めてから日本語の勉強を続け、現在は都内の人材派遣会社で避難者の仕事探しなどを支援しています。
オレナさんは「ウクライナでは今こうしている間にもロシア軍によって、多くの市民が命を奪われ、大切な街が破壊され続けています。この戦争を一刻も早く終結させないとウクライナだけでなく影響は世界にも広がり、大変なことになってしまうので今回のG7広島サミットはとても重要だと思います」と語りました。

その上で「世界各地で避難生活を余儀なくされている多くのウクライナの人たちはG7広島サミットを機により多くの人にウクライナに目を向けてもらい戦争を終わらせるために、各国首脳たちが結束して支援していただけることを望んでいます」と話しました。

スーダン 武力衝突が続く現状 国際社会の支援を

G7広島サミットを前に情勢の悪化が続くアフリカのスーダンの現状と国際社会ができる支援について考えるセミナーが17日、都内で開かれ、現地では外国人の退避後に戦闘がさらに激しくなっている現状が報告されました。

東京・文京区の東洋大学で開かれたセミナーはG7広島サミットを前にスーダンの現状を知ってもらおうと企画されたもので、およそ120人の学生が聴講しました。
この中で東洋大学の客員研究員で、首都ハルツーム出身のモハメド・オマル・アブディンさんが、スーダンは2019年の独裁政権の崩壊後、民主化に向けての議論が行われてきたものの、軍と準軍事組織、RSF=即応支援部隊との間で軍の統合をめぐって主張が一致せず、軍事衝突が起きたことを解説しました。

このあとスーダンからの留学生のアブデルガーディル・ラニアさんが、戦闘によってハルツームに88か所ある病院のうち60か所が機能を停止し、20万人の妊婦をはじめ、数千人の慢性疾患の患者やがん患者などが命の危険にさらされていることなどを説明しました。

その上でアブディンさんはセミナーの中で「外国人の退避後、現地では戦いがさらに激しくなり、首都を脱出する人が増えたほか、家にも銃撃戦の弾が流れてきたり、食料の買い出しができず餓死したりする可能性もある危険な状態になった。紛争がおさまるのはすぐには難しいと思うが、国際社会には真摯に向き合ってほしい」と訴えました。

セミナーの講師「スーダンの紛争当事者に圧力をかけてほしい」

今回のセミナーでアフリカ・スーダンの現状を語った東洋大学の客員研究員、モハメド・オマル・アブディンさん(44)です。

アブディンさんはスーダンの首都、ハルツーム出身で、いまも現地に両親や親族が暮らしています。

アブディンさんは水や食料、薬などの不足を心配していて「物流のネットワークが破壊され、お金があったとしてもあと数週間で医療サービスを受けらず、薬が手に入らない状況になりそうで、私の父も持病の薬が1週間分しかなく、補充の見込みもないので心配です」と話していました。

そのうえでG7広島サミットに期待することについて「紛争当事者に市民を攻撃しないというルールを守るよう圧力をかけてほしい。紛争をやめるように現在、アメリカとサウジアラビアの仲介で話し合いが行われているが、全く強い圧力がかかっていないので、紛争当事者には今後、銀行口座の凍結など強い制裁が必要だ」と話していました。

そして「紛争が長引く可能性があるので、多くの難民が出て、周辺国の支援が必要になったシリア難民のようにならないためにも、ハルツーム市民の多くが国内にとどまっている間に、生活ができるよう食料や医療の支援が必要で、G7各国の国益の観点からみても問題をスーダン国内でとどめることが重要だ」と話していました。