北朝鮮 “キム総書記 初の軍事偵察衛星打ち上げへ視察 承認”

北朝鮮は、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が初めてとなる軍事偵察衛星の打ち上げに向けて、搭載準備が完了した1号機を16日に視察して今後の行動計画を承認したと発表し、2016年2月以来となる「人工衛星の打ち上げ」と称した事実上の長距離弾道ミサイルの発射に踏み切る姿勢を改めて強調しました。

17日付けの北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、キム・ジョンウン総書記が、初めてとなる軍事偵察衛星の打ち上げに向けて、組み立て状態の点検と宇宙環境試験を最終的に終えて搭載準備が完了した1号機を16日に視察したと伝えました。

公開された写真では、白衣姿のキム総書記が娘とともに偵察衛星とみられる物体を見つめる様子などが確認できます。

キム総書記は「衛星発射準備委員会」の今後の行動計画を承認したということです。

ただ、打ち上げの具体的な期日などは明らかにしていません。

およそ1か月ぶりに動静が伝えられたキム総書記は、軍事偵察衛星の保有について「アメリカと南の対決策動が執ように強まるにつれて、これを徹底的に抑止して国家を守る正当防衛権はさらに堂々と攻勢的に行使される」と述べたとしています。

これに先立って、アメリカの研究グループは、衛星写真の分析から北朝鮮北西部の「ソヘ(西海)衛星発射場」で固定式発射台の近くにクレーンが設置され、改修工事が進められていると指摘したばかりです。

北朝鮮としては、弾道ミサイル技術を使った発射を禁じた国連安全保障理事会の決議に違反して2016年2月以来となる「人工衛星の打ち上げ」と称した事実上の長距離弾道ミサイルの発射に踏み切る姿勢を改めて強調した形です。

松野官房長官「現時点で通報などはない」

松野官房長官は、17日午前の記者会見で「現時点で北朝鮮側から、航空機や船舶の航行を制限する区域の設定について、通報などはなされていない」と述べました。

そのうえで「衛星と称したとしても、仮に北朝鮮が弾道ミサイルや、弾道ミサイル技術を使用した発射を強行すれば、明白な安保理決議違反であり、わが国の安全保障上の重大な挑発行為だ。政府として、引き続き適切な体制を構築し、国民の命と暮らしを守り抜く考えだ」と述べました。