広島 G7サミットを前に 海外から訪れた人たちの案内窓口を設置

19日に開幕するG7広島サミットを前に、海外から訪れた人たちに交通や観光の案内を行う「インフォメーションカウンター」が16日から広島県内の駅や空港に設置されました。

「インフォメーションカウンター」は、広島市にあるJR広島駅と三原市にある広島空港の2か所に16日から設置されました。

このうち広島駅では、事前に研修を受けた大学生のボランティア3人が外国人に英語で積極的に声をかけて、困りごとがないか尋ねていました。

「広島市の平和公園にはどのように行けばいいか」「荷物を預けるにはどうすればいいか」といった質問に対し、学生たちは道順などをわかりやすく案内していました。

また、カウンターでは、英語での対応が可能なスタッフのアバターも大型モニターに映し出され、訪れた外国人に原爆資料館の開館日などを伝えていました。

「インフォメーションカウンター」は、18日に国際メディアセンターにも設置されます。

ボランティアで参加した広島大学3年の赤尾直美さんは「広島に住む一員として、世界に平和を届けるかけ橋の一部になれればと参加を決めました。G7を機に、広島や平和について学ぶ人たちが多く来ているので、私自身もさらに学習を進めていきたい」と話していました。

交通規制で食材調達に影響のおそれ 休業する店も

警察は、サミットの期間中と、前後を合わせた今月18日から22日の5日間にわたって広島市を中心に交通規制を行う予定です。

このため、交通規制が予定されている道路に面した、広島市中区本川町にある鉄板焼き店では、食材の調達に影響が出るおそれがあるとして、サミット期間中を含め、今月22日まで店を閉めることにしました。

この店では、静岡県産のかつおなど県外から仕入れているものだけではなく、広島牛など県内からの食材も調達できないおそれがあると仕入れ先の業者から連絡があったということです。

メニューにある料理が提供できなければ、客の期待に応えられないとして休業することを決め、この期間は従業員も休ませることにしました。

鉄板焼き店「きずなや」の藤田大介代表は「この店を始めて17年になりますが、これほど長い休みは今回が初めてです。新型コロナが落ち着き、ようやく客が戻ってきたこの時期の休業は正直、痛手ですが、G7サミットのあとに今以上に観光需要が高まり、客が増えることを期待したい」と話しています。

警察庁 2万4000人動員 “最高レベルの警戒態勢で”

警察庁によりますと、G7広島サミットの警備は、全国から派遣される警察官などおよそ2万1000人を含む、最大2万4000人の態勢になるということです。

▽2008年の「北海道洞爺湖サミット」の2万1000人や
▽2016年の「伊勢志摩サミット」の2万3000人を上回り、2000年以降のサミットでは最大規模となります。

各国の首脳が日本に滞在する見通しの今月18日から22日にかけて、警察庁長官をトップとする警備対策室を設置し、警戒レベルを最高に引き上げて警備に当たります。

想定される事態

警察は
▽不審物が発見された場合に初動対応にあたる爆発物処理班や
▽銃器などを使用したテロの対応にあたる銃器対策部隊
▽生物化学兵器などを使ったテロ事件に対処するNBCテロ対策部隊も現地に配置します。

また、ドローンを使った襲撃などを想定し、不審なドローンを妨害電波を使って阻止する「ジャミングガン」と呼ばれる機材を備えた部隊も配置します。

さらに、平和公園沿いなど広島市内を流れる川での警備を強化するため、警備艇などを出動させるとともに、海上保安庁とも連携して、サミット会場周辺の臨海部での警備に当たります。

和歌山での爆発事件受け 警備態勢を拡充

警察庁は、先月、和歌山県を訪れていた岸田総理に向かって爆発物が投げ込まれた事件を受け、警備態勢を拡充しました。

各国の首脳が集まる会場周辺や訪問先などでのパトロールを強化し、不審物が置かれていないか事前に確認するとともに、不審な人物を発見した場合には、職務質問なども行うことにしています。

サイバー攻撃への態勢も強化

サミットにあわせたサイバー攻撃への態勢も強化します。

サミット会場や、各国の首脳の宿泊施設、電力や鉄道といった重要インフラの事業者に対し、サイバー攻撃を受けた場合は、速やかに連絡をもらい対処するとしています。

また、サミット期間中は、政府機関のウェブサイトなどに、大量のデータを送りつける「DDoS攻撃」が行われていないか、警戒を強化することにしています。

防衛省・自衛隊もテロなどに備え態勢強化

防衛省・自衛隊は、テロなどに備えて態勢を強化しているほか、護衛艦や航空機による警戒監視を行うとしています。

メイン会場がある広島市の宇品島からおよそ6キロ離れた陸上自衛隊海田市駐屯地では、テロに備えて生物化学兵器などへの対処を専門とする部隊を待機させているということです。

防衛省は、テロへの対応は主に警察や消防が行うとしていますが、場合によっては自衛隊も対応にあたるとしています。

また、海上自衛隊の護衛艦や哨戒機で不審な船舶への警戒を行うほか、航空自衛隊の早期警戒管制機や地上のレーダーで、航空機の監視を行うとしています。