G7首脳宣言案 気候変動 “新興国や途上国の事情考慮し支援”

G7広島サミットで発表する首脳宣言の原案の一部が明らかになりました。「グローバル・サウス」とも呼ばれる新興国や途上国に対して、気候変動やエネルギー分野で各国の事情を考慮しながら循環型の経済への移行を支援するとしています。

今週、開幕するG7広島サミットでは、ロシアによるウクライナ侵攻や、中国を含めたインド太平洋の情勢に加え、「グローバル・サウス」とも呼ばれる新興国や途上国との関係のあり方も議論し、成果文書として首脳宣言が発表されます。

議長国の日本は、首脳宣言の内容について各国と事前の調整を進めていて、このうち、気候変動対策と環境、エネルギーに関する部分の原案が明らかになりました。

原案では、遅くとも2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するため、クリーンエネルギーに移行するペースを上げ、経済の変革に向けて行動するとしています。
そして、「途上国や新興国がそれぞれの事情を考慮した多様で実践的な方法で、気候変動に強い循環型の経済に移行することを支援する」と明記しています。
また、ロシアによるウクライナ侵攻によってエネルギー価格が高騰し、特に途上国に悪影響を与える特別な状況だと指摘し、各国の状況に応じ、気候変動の目標と合致した形であれば天然ガス部門に投資を行うことも適切だとしています。
「グローバル・サウス」とも呼ばれる新興国や途上国はロシアや中国との距離感も含めそれぞれ立場も異なることから、日本は各国の事情に応じた支援を進める方針で、原案には、こうした考えが反映されています。

一方、「グローバル・サウス」ということば自体は、明確な定義がなく、国によって受け止め方も異なるとして、宣言の中では使わない方向で調整を進めています。