G7広島サミット 中心部で大規模な交通規制へ 配送は 出産は

ごみ箱は透明に、駅のロッカーは利用停止に。そして今月18日からの5日間は、広島市内を中心に大規模な交通規制が行われます。

商品の配送計画を変更して対応する企業や、出産が交通規制と重ならないか不安を感じる妊婦も。

19日に開幕するG7広島サミットを前に、各地で進む対策の現場を取材しました。

※本文に交通規制の詳細をまとめた記事のリンクもあります。

メイン会場がある宇品島 立ち入り規制始まる

広島市の本土側から宇品島にかかる橋の手前には、15日午後3時ごろ可動式の柵が設置され、立ち入りの規制が始まりました。

今後、出入りできるのは、原則、島の住民や事業者などであることを証明する「識別証」の発行を受けた人に限られます。
柵の周辺には、歩行者用と車用にそれぞれ保安検査場が設置され、島に入る際には毎回、保安検査場を通過して識別証の提示と手荷物の検査が求められます。

島に住む50代の女性は「警察官も増えてきてものものしい雰囲気になってきたと感じます。無事に何事もなく終わってほしいなと思います」と話していました。

宇品島への立ち入り規制は、サミット終了後の今月21日の昼ごろまで行われる予定です。
18日からの5日間は、広島市内を中心に大規模な交通規制が行われます。

出産が交通規制と重なったら…不安感じる妊婦も

広島市中区三川町の産婦人科で出産する予定の重近由貴さん(27)です。

予定日は今月16日で、予定日を過ぎた場合、交通規制と重なるおそれがあります。

重近さんは産気づいた時、自宅からタクシーで病院に向かうつもりです。ただ、交通規制の時間が直前まで分からない上、いざという時に病院に行けるのか不安を感じています。
重近さんは「わからないことが多いのでそこがいちばん不安です。交通規制中に陣痛が来たら病院に行かなきゃいけない。どうしても道路を通らなきゃいけないので、そこは少し考慮していただきたいです」と話していました。

この病院では、交通規制の最新情報をそのつど確認しながら、妊婦と電話で連絡を取り、対応することにしています。

広島市消防局は、交通規制が行われる期間について「まずは事前に交通規制のう回路などを確認してほしい。緊急の場合は、救急車を呼んで赤ちゃんの命を守ってほしい」と呼びかけています。

パンの製造・販売会社は出荷時間早めるなど対応

交通規制のため、業務用車両による配送などは午前0時ごろから6時ごろまでが推奨されています。

広島市に本社があるパンの製造・販売会社では主に県内2か所の工場から全国各地に商品を届けていて、交通規制にあわせて配送計画を変更することにしました。

具体的には工場で働く一部の人たちの出勤時間を2時間早めて生産と出荷を前倒しするほか、配達ルートを変更し、さらにトラックの台数も増やすということです。

これによって、広島市内では午前6時ごろまでに届け終える計画ですが、これまでよりも配送時間が早まる配達先もあるため、担当者に早めに出勤してもらうよう要請しているということです。

この企業グループの物流部門でリーダーを務める藤川倫文さんは「G7サミットが広島で行われるので地元企業として支えるとともに、いつもどおり商品を届けていきたい」と話しています。

コインロッカーにごみ箱 駅や空港でも対策

JR広島駅ではサミットに向けたテロ対策として今月15日から22日まで、5か所あるすべてのコインロッカーに荷物を預けることができなくなりました。

すでに預けていた荷物は17日までは取り出すことができますが、サミット開幕前日の18日にはすべて取り出され、管理会社で保管するということです。

中国地方のJRの駅では宮島口駅、岩国駅、岡山駅でも15日からサミット最終日の5月21日まですべてのコインロッカーで利用が停止されるということです。
また、広島空港では設置されているごみ箱が中が見える透明なものに取り替えられました。

広島空港は、サミットに参加する各国の首脳が利用することが想定されていて、テロ対策の強化が進められています。

すでに隣接する立体駐車場の一部の駐車スペースやコインロッカーの使用が制限されているほか、18日からは展望デッキが閉鎖される予定です。

東京も警備態勢を拡充 バスターミナルなどパトロール強化

警視庁は、多くの機動隊員を広島に派遣していますが、都内でも警戒レベルを引き上げ、警察署に勤務する警察官を機動隊員として招集し、警備態勢を拡充しています。
このうち、東京 新宿駅前の高速バスのターミナル「バスタ新宿」では、各地に機動隊員が配置されてパトロールを行うとともに、爆発物を検知する警備犬がコインロッカーに不審物がないかなどを確認していました。

警視庁では、大規模な駅や空港、それに繁華街など多くの人が集まる「ソフトターゲット」と呼ばれる場所でパトロールを強化するほか、外国大使館などの重要施設でも警察官を増員し、テロの防止に向けた対策を徹底する方針です。

原宿警察署の岡崎聖 署長は「都民の皆様には、何かいつもと違うことを感じたら警察官に知らせてもらうなど、ご協力をお願いしたい」と話していました。