【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(15日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる15日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領と英スナク首相が会談 新たな兵器供与へ

ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、SNSで「きょうはロンドンだ。ウクライナ軍の地上と空の能力拡大でイギリスはリーダー的な存在だ。この協力関係は続く」と投稿し、イギリスでスナク首相と会談しました。

ゼレンスキー大統領がG7広島サミットに出席する首脳に会うのはイタリア、ドイツ、フランスに続いて4人目で、サミット前に改めて協力を確認するねらいもあるとみられます。

イギリスのスナク首相は15日、SNSにゼレンスキー大統領と抱擁している姿の写真を投稿しました。

イギリス首相官邸は声明を出し、スナク首相が数百発の防空ミサイルや飛行距離が200キロを超える攻撃用の無人機、数百機を含むウクライナへの新たな兵器の供与を発表するとしています。

また、ウクライナが求めているF16戦闘機の供与に向けて、この夏からウクライナ軍のパイロットの訓練を始めるとしています。

イギリスは今月11日に、射程が250キロ以上とこれまでに欧米が供与を表明した中で最も射程の長い巡航ミサイルを供与したと明らかにしていて、今回の訪問を通じウクライナへの軍事支援を一層、強化することにしています。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は15日「われわれの姿勢は極めて否定的だ。イギリスはウクライナへの兵器の供与を続ける国々の中で主導的な地位を担おうとしている」と述べ、強く反発しました。

ウクライナ司令官「バフムトでわれわれの軍が前進している」

ウクライナ東部ドネツク州でロシア側が掌握を目指してきたバフムトでは、ウクライナ側が反撃を行っていて、ウクライナ陸軍のシルスキー司令官は15日、SNSで「バフムトでわれわれの軍が前進している。これは防衛作戦のなかで攻撃面での最初の成功だ」と評価しました。

そのうえで「まだ部分的な成功にすぎない」として、領土奪還に向けて反撃を続けていく考えを強調しました。

ウクライナのマリャル国防次官も14日、「バフムト郊外で10か所以上の敵の陣地をおさえた。激戦が続いている」と指摘しています。

ヘルソン州 “ロシア軍による攻撃が86回 6人死亡”

ウクライナ南部のヘルソン州や東部ハルキウ州の当局は、14日、各地でロシア軍による住宅などへの攻撃が相次ぎ、これまでに合わせて8人が死亡したと明らかにしました。

このうちヘルソン州の当局は、SNSへの投稿で、州内ではロシア軍による攻撃が86回に及び、住宅街にも被害が出たと明らかにし、これまでに6人が死亡し、3人がけがをしたとしています。

また、東部ハルキウ州のシネグボフ知事もSNSへの投稿で、州内の複数の住宅がロシア軍の砲撃を受け、市民2人が死亡したと明らかにしていて、各地で住宅への被害が相次いでいます。

ゼレンスキー大統領 仏マクロン大統領と会談 反転攻勢に向け協議

ヨーロッパを歴訪しているウクライナのゼレンスキー大統領は14日夜、フランスを訪れてマクロン大統領と会談し、軍事侵攻を続けるロシアへの反転攻勢にむけ、ウクライナ軍の強化について協議しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は13日から14日にかけてイタリア、バチカン、ドイツを訪れたのに続いて、14日夜、フランスのパリに、到着しました。

パリでは大統領府でマクロン大統領の出迎えを受け、夕食を交えながら会談を行いました。

ウクライナ大統領府によりますと会談ではウクライナの防衛力の強化に向けた軍事支援や、ロシア側に効果的な反転攻勢を行い領土を奪還するためウクライナ軍の能力強化について協議したとしています。

フランス大統領府はウクライナに対し数週間以内に装甲車など数十台を追加で供与すると明らかにしています。

ゼレンスキー大統領はフランスの前に訪れたドイツで反転攻勢に向けて兵器の供与は足りているかと聞かれ、「あと数回の訪問で十分だ」と答えていて、欧米の軍事支援で反転攻勢の準備が進んでいることを示唆しています。

ゼレンスキー大統領 反転攻勢に自信 欧米の軍事支援を背景に

ウクライナのゼレンスキー大統領は13日から14日にかけてイタリアやバチカン、ドイツを相次いで訪れました。

14日にはドイツでショルツ首相と会談し、会談後の共同の記者会見で「ドイツの支援はウクライナ国民の命を救うものだと強調したい」と述べ、兵器の供与を含めたこれまでの支援に感謝しました。
これに対しショルツ首相は「ドイツはウクライナを今後も支え続ける」と応じ、支援を続ける考えを示しました。

ドイツ政府はゼレンスキー大統領の訪問にあわせて、日本円でおよそ4000億円相当の新たな軍事支援を発表していて、反転攻勢を支える構えです。

ドイツに先立って訪問したイタリアも必要なかぎり軍事支援を行うと表明していて、ゼレンスキー大統領は「今こそ、この戦争を終わらせるときだ。ことし中にロシアの敗北を決定づけることができる」と述べ、欧米側の軍事支援を背景に反転攻勢を成功させることに自信を示しました。

一方で、反転攻勢について「われわれはロシア国内への攻撃はしない」と述べ、あくまで領土の奪還のためだと強調しました。
また、アメリカが供与に応じていないF16戦闘機などを念頭に「われわれは戦闘機同盟の創設に取り組んでおり、ヨーロッパ各国の首都を訪れているのはそのためだ」と述べ、ドイツにも戦闘機の供与を呼びかけていることを明らかにしました。

これに対しショルツ首相は今後、供与するかどうか、明言は避けました。

ロシア国防省 指揮官2人死亡と発表

ウクライナ東部の激戦地バフムトをめぐり、ロシア国防省は14日、「街の西部で掌握に向けた攻撃を継続した。北部と南部では敵の反撃をすべて撃退した」と主張しましたが、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は13日、「ウクライナ軍はこのところの反撃で一部を奪還したとみられる」との見方を示しました。

ロシア国防省は14日、バフムトや近郊での戦闘で指揮官2人が死亡したとも発表し、このうち1人については「敵の攻撃を撃退するさなかに複数の砲弾を受けた」としていて、ウクライナ側が反撃を強めていることがうかがえます。

イギリス国防省 “ロシア軍 多くの部隊が戦力不足”

イギリス国防省は14日、ロシア軍は現在、ほとんどが訓練不足の動員兵である上、旧式の装備に依存し、多くの部隊が深刻な戦力不足に陥っていると分析しています。

その上で、「長さ1200キロに及ぶ前線で大規模な軍事的効果を発揮できそうにない」という見方を示しています。

ロシア軍ヘリ墜落 ウクライナ側の関与を否定

ウクライナと国境を接するロシア西部で13日、ロシア軍の戦闘機やヘリコプターあわせて4機が墜落したと伝えられたことについて、ウクライナ空軍のイグナト報道官は14日、地元メディアに対してウクライナ側の関与を否定しました。

墜落したのはヘリコプター3機を含むあわせて5機だったとしています。

また、報道官はロシア側の防空システムが誤って撃墜した可能性もあるという見方を示しましたが、その後、別の地元メディアは、報道官が司会者の冗談に乗っただけだとして訂正したと伝えています。