英がウクライナに供与の巡航ミサイル“ゲームチェンジャーに”

イギリスがウクライナに供与した巡航ミサイル「ストームシャドー」について、防衛省防衛研究所の兵頭慎治研究幹事は、供与される量によるとしながらも「戦況を大きく変える『ゲームチェンジャー』になり得る兵器だ」と指摘しています。

その理由について兵頭氏は「ウクライナ軍が保有する射程が最長の攻撃兵器だ」とした上で「ロシアが支配しているウクライナの東部や南部はおろか、クリミア半島もほぼ射程に入ることになる。ロシア軍の後方の軍事拠点を効果的に攻撃でき、ロシア軍の戦闘能力が低下する可能性がある。ロシア側としては、支配地域の中で安全な場所がなくなることになり、強く警戒しているだろう」と述べました。

また、ストームシャドーを供与したイギリスをロシアが強く非難していることについては「特定の兵器を名指しし、供与した国を強く非難するのは異例だ。イギリスが今後、供与する量を増やしたり、イギリスに続く形でアメリカがさらに射程の長い攻撃兵器の供与に踏み切ったりすることへのけん制ではないか」と指摘しました。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領が、準備を進めているとしている反転攻勢を巡って「ロシアは確実に実感することになる」と述べたことについて兵頭氏は「ロシア側にゆさぶりをかける情報戦の一環で、欧米諸国から兵器の供与を受けた上で反転攻勢するんだと強い意志を示したと思う。どこから反転攻勢をしかけるかも含めてウクライナとロシアの間で情報戦や心理戦が行われている」と指摘しました。

そして反転攻勢の時期に関連して「最終局面にはたどりついていると思う」とした上で「欧米からさらなる軍事支援を受けることができればより効果的な反転攻勢ができると考え、ギリギリの調整を行っているようにも見える」と述べました。