ポーランド外相 ウクライナ支援で日本の役割に期待

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの隣国ポーランドのラウ外相が11日、NHKの単独インタビューに応じ、ウクライナを支援することは各国の安全保障にとっても重要だと強調し、G7=主要7か国の議長国を務める日本の役割に期待を示しました。

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの隣国ポーランドは、戦車や戦闘機の供与といった軍事支援をはじめ、158万人を超える避難民の受け入れなど、ウクライナへの支援を積極的に行っています。

来日しているポーランドのラウ外相が11日、NHKの単独インタビューに応じ、「ウクライナで起きていることは平和と国際秩序を守ろうとするわれわれの共通の問題だ。ウクライナは自国のためだけでなく、ポーランドなどほかの国のためにも戦っている」と述べ、各国の安全保障のためにも自国の問題として対応する必要があるという認識を示しました。
また「日本や欧米がウクライナを支援し続ければ、ウクライナが勝利できる可能性がある。平和のために結束しなくてはならない」と述べ、各国が支援を強化することが重要だと強調しました。

そして「ロシア軍はウクライナから撤退し、ロシアによる戦争犯罪は裁かれなくてはならない」と述べ、ロシアの責任を追及するべきだと指摘しました。

その上で「ポーランドは日本と協力してウクライナへの支援を継続する用意がある。日本は震災や戦争から復興した経験があり、ウクライナの参考になるはずだ」と述べ、日本のG7議長国としての役割に期待を示すとともに、東日本大震災などを通じて培ったノウハウをウクライナの復興に役立ててほしいと訴えました。

ポーランド ウクライナへ支援に積極的

ウクライナの隣国ポーランドは、第2次世界大戦でソビエトに占領された歴史などから、ロシアに対する警戒感が強く、ウクライナへの支援を積極的に行っています。

侵攻直後に多くのウクライナの人がポーランドに逃れてきた際には、国民が自宅の一室を一時的に提供するなどして迎え入れました。
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所によりますと、侵攻が始まってからこれまでにポーランドが受け入れたウクライナからの避難民は158万人余りに上っています。

また、ポーランドは欧米からウクライナに対する軍事支援が強化される流れをつくる役割も担ってきました。

ウクライナには、ヨーロッパ各国からドイツ製の主力戦車「レオパルト2」供与されていますが、この戦車の供与をいち早く表明したのがポーランドでした。
「レオパルト2」について、ドイツは各国が保有するものも含め供与には慎重な姿勢でしたが、ポーランドの表明もあって注目が集まるなか、ドイツは、ポーランドの表明を追随する形で供与に踏み切り、各国がウクライナへ「レオパルト2」を送ることも認めました。

さらに、ポーランドは自国が保有する旧ソビエト製のミグ29戦闘機の供与を進めています。

各国のウクライナへの支援をまとめているドイツのシンクタンクによりますと、ポーランドがこれまでに表明した軍事支援の総額は、24億ユーロ余り、日本円にしておよそ3600億円にのぼり、アメリカ、イギリス、ドイツに次いで4番目に多くなっています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、先月上旬、ポーランドを訪れドゥダ大統領と会談し、これまでの支援に謝意を示しました。

ポーランドが支援に力を入れる背景について安全保障や外交の専門家は、ロシアがウクライナ侵攻に成功すれば、次に狙われるのはポーランドなど東欧の国やバルト三国だという危機感があり、自国の安全保障のためにも支援に力を入れていると説明しています。