ラガルド総裁“米銀行の経営破綻の教訓や対応策 G7で議論へ”

G7=主要7か国の財務相・中央銀行総裁会議に出席するため、新潟市を訪れているヨーロッパ中央銀行のラガルド総裁がNHKの単独インタビューに応じ、今回のG7では、アメリカで相次ぐ銀行の経営破綻の教訓や対応策を議論する考えを示しました。

ヨーロッパ中央銀行はG7の会議に先立って先週4日の理事会で、7回連続となる利上げを決めましたが、利上げの幅はこれまでの0.5%から0.25%に縮小しました。

これについて、ラガルド総裁は「0.5%から0.25%へとスローダウンはしたものの、ECBはインフレと戦う旅をしており、その戦いは終わっていない。中期的に2%の物価目標を達成するという十分な確信が持てて初めて戦いは終わる」と述べ、インフレを抑えるため、必要に応じ今後も利上げを続ける考えを示しました。

また、ラガルド総裁は、今回のG7ではアメリカで相次ぐ銀行の経営破綻について、議論が交わされるという見通しを示しました。

一連の破綻はSNSの投稿などをきっかけに急速な預金の流出が起き、デジタル時代の預金の取り付けという意味で「デジタル・バンク・ラン」とも呼ばれますが、ラガルド総裁は「銀行の破綻から学ぶべき教訓や事態の進展の速さにおいてソーシャルメディアがどのような役割を果たしたかについて検討することになるだろう。規制の強化や国際協力の必要性を感じたら、それを議論し、合意を目指すことになる」と述べました。

また、先月就任した植田和男総裁については「新しいリーダーシップのもとで金融政策の強みと弱みを理解するため、多角的レビューの実施を決めたことは非常に賢明だったと思う。物価の安定を維持するため、最善の方向性を導き出したと考えている」と述べました。

一方、ラガルド総裁は女性の社会参画について積極的に活動しています。

インタビューでは日本の女性参画の現状に関連し「女性は才能、エネルギー、能力、知性の宝庫だ。ふさわしいチャンスが与えられれば、職場はもっとよくなるはずだ。日本は家族や社会、政治などさまざまなレベルでこの問題に直面している。なぜ女性が才能を発揮できないのか、なぜ意思決定に参加できないのか、改めて向き合う必要がある」と述べました。