香港有力紙 連載40年の「風刺画」掲載終了発表 理由は示されず

香港の有力紙「明報」は、40年にわたって続けてきた風刺画の掲載をやめると明らかにしました。理由は示していませんが、風刺画に対して香港政府の高官などからの批判が相次いでいて、記者協会は「報道機関が自己検閲を強めるおそれがある」と危機感を示しました。

香港の有力紙「明報」が40年前から連載している風刺画は香港の人々の間で関心が高い政治や時事問題をユーモアと皮肉を込めて取り上げ、人気を集めてきました。

風刺画には政府トップの行政長官や議員、それに警察官などが描かれてきましたが、香港メディアによりますと去年10月、警察の幹部が「明報」に対し書面で「警察のイメージを悪化させた」と非難した上で対処するよう求めました。

その後も政府高官などから批判が相次ぎ、その回数はこの7か月間で6回に及ぶということです。

こうした中「明報」は11日、理由は示さずに14日から風刺画の掲載をやめると明らかにしました。

香港記者協会は声明を出し「今回の発表に心を痛めている。報道機関が政府からの批判を恐れて自己検閲を強め、言論の自由がさらに損なわれるおそれがある」と危機感を示しました。

香港では、おととし反政府的な動きを取り締まる国家安全維持法が施行されたあと言論に対する統制が強まっています。