昨年度の経常収支 9兆2256億円 黒字額は前年度の半分以下に

日本が海外との貿易や投資でどれだけ稼いだかを示す昨年度1年間の経常収支は、黒字額が前の年度の半分以下に落ち込みました。エネルギー価格の高騰や記録的な円安で輸入額が膨らんだことが要因です。

財務省が発表した国際収支統計によりますと、昨年度1年間の経常収支は、9兆2256億円の黒字でした。

黒字額は、前の年度よりも10兆9265億円減りました。

減少幅は過去2番目で、黒字額は前年度の半分以下の水準まで落ち込みました。原油などエネルギー価格の高騰に加えて記録的な円安で円に換算した輸入額が大幅に増加したのが要因で、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は18兆602億円の赤字と、過去最大の赤字額となりました。

一方、日本企業が海外の子会社から受け取った配当や利子などの収支状況を示す「第一次所得収支」は35兆5591億円の黒字となりました。

黒字額は前の年度よりも6兆5508億円増え、過去最大となりました。

エネルギーや資源価格の上昇で総合商社の子会社の業績が好調だったことなどが要因です。

また、合わせて発表された、ことし3月の経常収支は2兆2781億円の黒字でした。黒字額は去年の同じ月よりも9573億円減りました。

ことし3月の旅行収支 過去2番目の黒字

外国人旅行者が国内で宿泊や買い物に使った金額から、日本人旅行者が海外で使った金額を差し引いた、ことし3月の「旅行収支」は過去2番目の黒字額となりました。

財務省が11日発表した国際収支統計によりますと、ことし3月の旅行収支は2820億円の黒字でした。黒字額は、国内で新型コロナの感染が拡大する直前の2020年1月に記録した2962億円の黒字に次ぐ過去2番目の水準です。

新型コロナの影響で落ち込んでいた外国人旅行者の数が、大幅に増えていることに加え、円安で日本での消費が割安になったこともあり、外国人旅行者1人当たりの消費額がコロナ前より増加傾向にあることが要因です。

一方で、燃料費の高騰などにより、日本から海外への旅行者の数は回復が遅れていることも、旅行収支の黒字の増加につながりました。

松野官房長官 “国内投資 拡大の取り組み実行していく”

松野官房長官は、午後の記者会見で「経常収支はさまざま要因で影響を受けるもので、今後の確たる見通しを申し上げるのは困難だが、輸出を通じた成長は引き続き重要で、政府としてもしっかり支援していく。かぎは生産基盤強化のための国内投資であり、経済界からの要望も骨太の方針などに反映することで、さらなる投資拡大の取り組みを実行していく」と述べました。