大谷翔平が今季初黒星 7回3失点に抑えるも負け投手に

大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手が、アストロズ戦に先発登板して7回を3失点に抑えましたが負け投手となり、今シーズン初黒星を喫しました。

大谷選手は9日、本拠地アナハイムで行われたアストロズ戦に先発ピッチャー兼3番・指名打者で出場し、立ち上がりから150キロ台後半の速球やキレのあるスライダーで三振を奪って4回まではヒット1本に抑えました。

しかし、1点リードの5回にかつてエンジェルスでバッテリーを組んでいた相手の9番・マルドナード選手にツーランホームランを打たれて逆転され、さらに3者連続ヒットでこの回、3点を失いました。

このあとは立ち直って、7回を終えて球数が103球となったところでマウンドを降り、この日は7回3失点でした。

打たれたヒットは6本、フォアボールは2つ、奪った三振は7つでした。

一方、バッターでは、昨シーズン17勝をあげてワールドシリーズ制覇に貢献した相手先発の左腕、バルデス投手と対戦して1回の第1打席はセカンドゴロ、4回の第2打席は変化球にうまく合わせましたが相手の好守に阻まれてセンターライナーでした。

6回の第3打席は、初球をファウルした際にバットがキャッチャーのミットに当たって打撃妨害となり、9回の第4打席は、相手の抑えと対戦して三振し、この試合は3打数ノーヒット、打撃妨害が1つで打率が再び3割を切って2割9分4厘となりました。

エンジェルスは1対3で敗れて大谷選手に初黒星がつき、今シーズンは4勝1敗、防御率は2.74となりました。

割れていた右手の指の爪 「痛いとかはなかった」

試合後、大谷選手は試合前から右手の指の爪が少し割れていたことを明かしましたが「あまり痛いとかはなかったし、投げているボール自体は悪くなかった。次回もいつもどおりの日程で行けるかなと思う」と話し、ピッチングへの影響は大きくなかったとしました。

大谷選手は今シーズン、キャッチャーがサインを出すのではなく投げるボールを自分で決めてキャッチャーに伝えていますが、この試合は投球の56%がストレートとツーシームのいわゆる速球系のボールで、今シーズンの平均より25%ほど多くなりました。

また、縦に大きく落ちるスプリットは1球しか投げませんでしたが、これについて大谷選手は「スプリットは投げるべきポジションやカウントがまず少なかった。あとは、初めて組むキャッチャーでブロックのデータもあまり分からない状態だったので、そんなにリスクのあるボールを選択することが有効かどうかをてんびんにかけて投げた」と話し、初対面のキャッチャーとのバッテリーだったことも考慮しての配球だったと説明しました。

大谷翔平 試合後の一問一答

試合後、大谷選手が日米のメディアの取材に答えた一問一答です。

Q.爪が割れた?
A.もともと(試合前から)ちょっと割れてたので、という感じですかね。

Q.影響や今後の心配は?
A.んー、おそらくないとは思う。まだ投げたばっかりで何も(ケアを)やってないが、普通のいつもどおりの日程で行けるかなと思います。

Q.アストロズのバルデス投手のように、相手エースと投げ合うのはどれくらい楽しいか。
A.自分の打席以外はちょっと見てなかったので。まあテンポよく投げているなとは思ってましたけど。すばらしいピッチャーなので、なかなか。ロースコアになるというのは分かってましたし。そこで逆転されてしまったのが、やっぱり負けた要因かなと思います。

Q.初見のキャッチャーといきなり試合で組む難しさは。
A.まあ信頼関係がいちばんじゃないかなとは思うので。お互いにそうですけど。キャッチャーも、見たことない球というか、あまり捕ったことのないピッチャーの球というのは捕りづらいと思いますし。今後組んでいくかどうかまだ分からないですけど、組んでいくこともあると思うので。しっかりコミュニケーションを取って、きょうより次の登板がよくなるように、コミュニケーションを取りたいなと思います。

Q.3登板連続で、1イニングに失点が重なっているが。
A.ホームランになっているので、まあそこが。前回もそうでしたけど、そこがいちばんかなと思います。先頭を出している、フォアボールで出しているのが、そういう(失点が重なる)イニングにもちろんつながってくるので。そこが改善点かなとは思います。

Q.ベーブ・ルースの通算奪三振記録を超えたが。
A.奪三振自体はきょうはあんまり多くなかったですけど、よいボールも悪いボールもはっきりしていたので。まあ、超えられたというのはもちろんよいことですし。まだでもことし始まったばっかりなので、まず毎登板、毎登板、健康な状態で試合に入れるように努めたいなと思ってます。

Q.バッティングの調子は?
A.きょうも打てる球はもちろん何球かあったと思いますし、すばらしいピッチャーなので、なかなか失投というのは少ないとは思うんですけど。きょうはその球を打ててなかったかなという、単純にそれに尽きるかなと思うので。バッティング自体の調子はよくも悪くもないくらいの感じかなと思います。

Q.きょうのような投手戦で競り負けたあとの感情は?
A.まあもちろんね、向こうのピッチャーがすばらしかったというのはあると思いますけど。失投は何球かあったので。そこで自分自身が打って、チャンスを作っていれば勝つチャンスはあったんじゃないかと思うので。ピッチングよりは打席でのアプローチが、きょうに関してはどちらかと言うと悪かったかなとは思います。

Q.爪の状態は、何回からよくなかったのか?
A.どのくらいかは覚えてないですね。気付いたらという感じだったので。あんまり痛いとかなかったですし。多少(状態が)弱いなとは思いましたけど、そんなに。6、7回もよかったですし、投げているボール自体悪くなかったので。あまりそこまで(影響は)大きくはなかったかなと思います。

Q.ツーシームが多かった要因は。
A.ゲームプランの1つとして、各ゲームどういうふうに行こうかなというのは毎回決めてますけど。そのうちの1つかなと思います。

Q.スプリットが少なかったのは、ゲームプランの判断なのか。ゲームの中での判断なのか。
A.投げるべきポジションというか、カウントであったりとか、雰囲気だったりとか、そこら辺がまず少なかったのと。あとは初めて組むキャッチャーなので、あんまりその、例えば味方のブロッキングのデータだったりとかというのがあまり分からない状態なので。そんなにリスクのあるボールを選択して多く投げるのが有効かどうかっていうのをてんびんにかけて投げている感じですかね。

Q.爪は関係ない?
A.爪はあんまり関係ないですかね、はい。

Q.急きょバッテリーを組んだオーキー選手の印象は。
A.お互いにやっぱりまだ1回目なので、どう、というのはお互いに分からないところはあるんですけど。練習もそうですし、登板が終わった後もコミュニケーションを取りましたし。もちろんキャッチャーのほうから見て感じたゲームというのも意見交換しながら。次によりいいピッチングができるように。あしたからもあるので、コミュニケーションを取りたいなと思ってます。

Q.具体的にオーキー選手からどんな話があった?
A.いやもう初めてなので、キャッチャーのほうからあまりこう、いかないようにしたいとは(オーキー選手が)話してたので。別に僕は「そこは気にしないで、感じた事があればどんどん言ってほしい」というのは僕のほうからは伝えているので。そこは次回以降、もちろんどうなるか分からないですけど、まだ。そこ次第かなと思います。

Q.1球の失投をしとめて逆転ホームランを打った、元チームメートのマルドナード選手のいやらしさを感じたか。
A.そうですね、まあ投げた位置も悪かったですし。どちらかと言うと僕のほうに責任があるというか。もちろん打ったバッター、いい打席でよい結果が出て、というのがあると思うんですけど。やっぱりその、投げるべきスポットに投げきれていないかなというのはありますかね。

逆転HRのアストロズ マルドナード「大谷は球界最高の選手」

大谷選手から逆転のツーランホームランを打ったアストロズのマルドナード選手は、かつてエンジェルスに所属していて、2018年には大谷選手が大リーグで初登板した試合など8試合でバッテリーを組んだ間柄です。

試合後、マルドナード選手は「打ったのはスライダー。5年前は、彼はスライダー、スプリット、カーブ、ストレートの4球種だけだったが、今はツーシームもカットボールもあるし、毎年のように新たな球種を増やしている。あの頃とは全然違う」と話しました。

アストロズで、コール投手やバーランダー投手などの名投手とバッテリーを組んで、ワールドシリーズを2回制したマルドナード選手は「いいピッチャーというのは、学ぶことを決してやめない。常にもっとよくなろうという向上心を持っている。だから大谷は球界最高の選手なんだと思う」と、自身の経験を踏まえて、大谷選手をたたえていました。