立民と共産 防衛費増額の法案めぐり委員長の解任決議案 提出

防衛費増額の財源確保に向け「防衛力強化資金」を創設するなどとした法案をめぐり立憲民主党と共産党は、10日の衆議院財務金融委員会での採決を阻止するため、自民党の塚田委員長の解任決議案を衆議院に提出しました。

政府・与党が、今の国会の重要法案の1つと位置づける防衛費増額の財源確保に向け「防衛力強化資金」を創設するなどとした法案は、先月6日に衆議院本会議で審議入りし、財務金融委員会で審議されています。

与党側は、9日の理事会で、10日の委員会での採決を提案しましたが、野党側が「防衛費増額は、東日本大震災の復興財源に関わる話で、被災地での地方公聴会も必要だ」として応じられないと主張したため、自民党の塚田委員長は、職権で委員会を開くことを決めました。

立憲民主党と共産党は、与党側が目指す10日の採決を阻止するため、塚田委員長の解任決議案を衆議院に提出しました。

決議案では「当事者の声を聞くために、地方公聴会の開催を繰り返し強く求めているにもかかわらず、塚田委員長は質疑を打ち切って採決を強行しようとしており、国民不在の国会運営と断じざるを得ない」としています。

委員長の解任決議案が提出されたことから、10日に委員会は開かれなくなりました。

与党側は、解任にあたる理由はないとして、12日に開かれる衆議院本会議で、決議案を否決したうえで、来週、委員会で法案を採決する方針です。

塚田委員長「解任決議案が出されたのは残念」

衆議院財務金融委員会の塚田委員長は、記者団に対し「この間、重要法案として与野党の要請を受けて審議時間の充実を図ることに努めてきた。十分に審議を尽くしてきた中で、解任決議案が出されたのは残念だ。重く受け止めて、国会における判断を待ちたい」と述べました。

松野官房長官「速やかな法案成立を」

松野官房長官は午後の記者会見で「国会の運営は国会が決めるものだと考えているが、政府としては防衛力の抜本的強化に必要な財源を確保するという法案の趣旨と内容を理解頂けるよう、引き続き丁寧な説明に努めつつ、速やかな法案成立を目指していきたい」と述べました。

自民 越智氏「野党側の要求には応えてきたつもり」

衆議院財務金融委員会で与党側の筆頭理事を務める自民党の越智隆雄氏は、NHKの取材に対し「理事会と委員会を流会せざるを得なくなり残念だ。野党側の要求には十分応えてきたつもりであり、防衛力強化の財源を確保する大切な法案なので、国会でも国民にも理解してもらえるよう努力したい。本会議で決議案が否決されれば正常化に向かうと思うので、また委員会運営を続けていくことになる」と述べました。

立民 安住氏「解任決議案を出さざるを得ない」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「不用になったお金は、本来、生活の苦しい人に使うべきで、全部寄せ集めて防衛費に使うのは断じて容認できない。事実上の増税法案で、簡単には通過させないことが今の国会での最大のテーマだったので、解任決議案を出さざるを得ないと判断した」と述べました。

共産 穀田氏「廃案を目指して一緒に戦う」

共産党の穀田国会対策委員長は、記者団に対し「地方公聴会は、野党4党が一貫して要求してきたことであり、法案の採決の前に開催するのが当然で、国会運営の責任だ。解任決議案への態度は野党4党の中で分かれたが、今後も法案の廃案を目指して一緒に戦っていく」と述べました。

維新 遠藤氏「やり方がわれわれとは違う」

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、記者団に対し「法案が簡単に通ってしまうことを阻止するのが野党の仕事だと言うのもわかる気はするが、やり方がわれわれとは違う。国民から見た場合にどう判断されるかを考えるべきだ」と述べました。

国民 古川氏「決議案に賛同しないが、できるかぎり協力」

国民民主党の古川国会対策委員長は、記者団に対し「解任決議案には賛同しないが、法案に反対という点では、引き続き、野党4党で、できるかぎり協力していきたい」と述べました。